「チーズづくりに携わる人たちへの思いを分かち合いたい。」
ピエール・ブリソンさん
手づくりは、時に失敗もするけれど、成功したときのおいしさは格別だ。
乳がチーズとなっていく化学反応が目の前で起きるのは感動的で、教室に集まったチーズ好きたちと、未知の体験を共有するのが何より楽しい2時間半。
「子どもは食後に甘いものを食べるのが好きですが、私は6歳の時から大人のようにチーズを欲しがっていました」と語るのはParoles de fromagersのオーナー、ピエール・ブリソンさん。ボジョレのワイン醸造一家に生まれながら、幼少期からチーズの仕事に就きたいと考えていた。「でもパリでチーズ店を始めるにあたって、妻は不安だったと思います」。オーヴェルニュ地方のホテル学校を出て、農業省管轄の農業促進・職業訓練センターでチーズ学caséologieを修めた後、フランスチーズ連盟に加盟、念願のチーズ業界にめでたくデビューした。
ピエールさんのチーズ店は一見小さいけれど、上階にはチーズ製造室があり、教室はそこで開かれる。サヴォワ地方の木造家屋のような店の奥のBar à fromagesでは、チーズをワインとともに楽しめる。さらに奥には、販売する6割のチーズを熟成するカーヴがあり、地下の17世紀のカーヴでは試食教室が開かれる。
「チーズが私たちの食卓に上るまでには、酪農家からチーズ店まで、多くの人々が様々に関わっています。その人たちへの思いを分かち合いたいと、チーズ作りの講座をやっています。チーズ作りに携わる人たちの言葉、お話、という意味合いで Paroles de fromagersという店名にしました。店も製造から熟成、食べるまでの過程が見られるように造りました」。
チーズ作りの講座は2時間半。モッツァレラ、プチ・ヴァッシュの2タイプのチーズとバターを作り、試食では他の種類のチーズもワインと楽しめる。「各々がナイフで好きな分だけ切り取る食べ方もいいのですが、チーズによって異なる切り方、盛り付け方も学ぶ価値があります」というのも、チーズの多角的アプローチを提唱するピエールさんならでは。
今の食文化は、様々な交通と交換によって培われてきたものだ。自分の口の中でワインとチーズが融合されるこの瞬間までに、どれだけの人の手と、自然の力が働いてきたのか。「感覚」とは、味覚だけでなく、そういうふうに思いを馳せることでもあるのかもしれない。初めて挑戦したチーズづくりで、作ったチーズを味わいながら、そんなことを考えた。
●Paroles de Fromagers :41 rue du Faubourg du Temple 10e Paris
M°Goncourt/République
店の営業時間:月16h-20h30 火〜金10h30 – 13h/16h – 20h30 土10h−20h30
チーズ作りアトリエ 95€。試食アトリエもある 95€/70€。
予約 Tél : 01.4803.9818
www.parolesdefromagers.com
Paroles de Fromagers :
Adresse : 41 rue du Faubourg du Temple , 75010 Paris , FrannceTEL : Tél : 01.4803.9818
アクセス : M°Goncourt/République
URL : www.parolesdefromagers.com