「ワインをどれにするか、迷ってしまう」という人のために、40年以上フランスに住んで、ワインをのみ続けてきたぼくからのアドバイス。
値段も手ごろで、好みの味の常飲ワインを見つける
ワイン通でも、普段は手ごろなワインですませているものです。ワイン屋やスーパーに通い、予算に応じて(7~10ユーロ前後)、一本一本と試していくのだが、まず的をしぼること。
赤ワインが好きな人は、コクがあるものがねらいなら、南仏産のラングドックLanguedocやミネルヴォワMinervois、カオ―ㇽCahors、ボルドーBordeauxやコット・デュ・ローヌCôtes du Rhône。軽くフルーティーなものがほしいなら、ボージョレBeaujolais、ロワール産のトゥーレーヌTouraineやブルグイユBourgueil。
白ワイン好きで、辛口がねらいなら、ムスカデMuscadet、まろやかな風味ならソーヴィニョンSauvignonやシャルドネChardonnay種のもの、フルーティー重視ならアルザス産のシルヴァネールSylvanerやリースリングRiesling。
ぼくの常飲ワインはというと、12区にあるワインバーBaron rougeの、リットル4ユーロというメルロ種Merlotの赤。タンニンが軽く飲みやすいし、のみすけの友人たちが押し寄せてきても破産しない。
地方の名物料理にはその地方のワイン
ふつうのフランス人は、魚介料理なら白、肉・臓物料理なら赤と気を配るくらい。手をかけて地方の名物料理をごちそうするというのなら、その土地名産のワインと組み合わせるとうまくいくものだ。
生ガキには、ブルターニュ地方のムスカデやボルドー(カキが名物のアルカッションに近い)のアントル・ドゥ・メールEntre deux mersといった辛口の白。ブイヤベースには、マルセイユに近いカシCassisの白や南仏のロゼRosé de Provence。シュークルートには、キャベツを煮込むときに使ったアルザス産の白、シルヴァネールを合わせよう。トゥールーズ風カスレには、マディランMadiranやカオ―ㇽの赤。リヨンなどのソーセージ料理にはコット・デュ・ローヌの赤。ブッフ・ブルギニョンにはブルゴーニュBourgogneの赤。といってもこれらはあくまで一例で、生ガキにはリースリングと言う人もいるし、ブッフ・ブルギニョンにはコット・デュ・ローヌでもいいのです。とにかく楽しみながらワインの旅をつづけよう。(真)
Quels vins ?
レストランでもフランス家庭でもよく食べられている代表的な料理をとり上げて、どんなワインと合うのか考えてみよう。
- サバのグリル:辛口のムスカデで決まり。
- ヒラメのムニエル:繊細な白身を引きたてるふくよかで上品な白。たとえばシャブリChablisやサンセールSancerre。
- サケのソテー:この魚の脂がのった風味には、ロワール産のソーヴィニョンやアルザス産リースリングの白。ぜいたくするならブルゴーニュ産のムルソーMeursault。
- スモークサーモン:かんきつ類の香りがする白、カンシーなど。ぼくはキリッと冷やしたウオッカ。
- ローストチキン:酸味ほどほどのシャルドネ―やアルザス産の白。赤ならタンニンが柔らかいボージョレ。
- ローストポーク、豚肉のフライパン焼き:ローストチキン同様のワインでいいのだが、味の濃いソースを添えるなら、ブルグイユやアンジューAnjouなどの軽めの赤。
- くん製ソーセージとレンズ豆:コクのある南仏産のミネルヴォワや豚肉大好きが多いコルシカの赤。
- ブランケット・ド・ヴォー:タンニンが強い赤は、このクリーム煮の味わいを殺してしまう。ボージョレ産で数年たってまろやかなになったフルリーFleurieやシェナスChénasなら文句なし。アルザスの白も合う。
- リブロースentrecôteのステーキ:なんといってもボルドーの赤。それも数年たったサン・テミリオンSaint-Emilionなどの銘酒を抜きたい。
チーズとワインの組み合わせは次回に。
Baron rouge
活気あるアリーグル市場の近くに、昔ながらにワインをリットル単位で売ってくれる店Baron rougeがある。ワインの匂いがしみこんだような店内に入っると、五つの大きなワイン樽。4ユーロ(メルロ種の赤)から8.5ユーロ(ボージョレのモルゴンの赤)という値段は庶民の味方。もちろん白やロゼもある。
夕方や週末は近所の人や外国人観光客で混雑する。昼前に出かけてのんびりグラスをかたむけていると、亜鉛性のでこぼこしカウンターで、年配の女性が白を立て続けに2杯立ち飲みしたりしていて、心ほのぼの。
その場で、赤、白それぞれ10種類以上のワインをソーシソンやチーズといっしょに楽しむことができる。季節になると生ガキも。
Baron Rouge
Adresse : 1 rue Théophile Roussel, 75012 Paris , FranceTEL : 01 43 43 14 32
アクセス : メトロ8番線Ledru Rollin駅最寄り
URL : http://lebaronrouge.net/
月17h-22h、火-金10h-14h/17h-22h、土10h-22h、日10h-16h