3月31日、シャンゼリゼ劇場から届いたメールは、俳優ジェラール・ドパルデューの声明だった。同劇場では4月1日から3日の3晩、「ドパルデュー、バルバラを歌う」コンサートが予定されている。
「私は、ドストイエフスキー、トルストイ、ゴーゴル、パステルナック… 彼らが巧みに描いたロシア国民に対して比類なき愛情を抱いてきました。多くの芸術家…チャイコフスキー、プロコフィエフ、ショスタコヴィッチ…。 指導者ヴラディミール・プーチンの受け入れがたい狂気の逸脱の責任は、ロシア国民にはありません。シャンゼリゼ劇場での3晩のコンサートの収益は、この兄弟殺しの戦争によるウクライナ人の犠牲者のものとなります」とその声明には書かれていた。
2月24日に始まった露軍によるウクライナ侵攻をうけて、ドパルデューは3月1日「この《兄弟殺し》のような戦争に反対する。武器を置き交渉を」と公言。そして今回はプーチン大統領を痛烈に批判した。
これに対してロシア政府は、「ドパルデュー氏は政情に通じておらず、何が起こっているのかを理解していないように思われる。彼はウクライナのドネツクとルガンスク親露派地域を知らない。(ウクライナによる)市民の爆撃を」また「必要とあれば、彼が理解できるよう説明する」とディミトリ・ペスコフ報道官を通じて見解を表明。議員のひとりは、2013年にプーチン大統領が自らドパルデューに手渡したロシアのパスポート(国籍)とロシア国内の不動産を没収し、慈善団体に寄付するべきだと訴えている。
ドパルデューは2013年、ロシアのパスポートをプーチンの手から直接渡されロシア国籍を取得した。その頃は「独裁者の友」と言われたドパルデューだが、影響力がある人には、市民が無駄に死なないため、一刻も早い停戦のために、声をあげてほしいものだ。