Helen Frankenthaler
ヘレン・フランケンサーラー(1928-2011)はアメリカ美術史に残る大物だが、同世代のアメリカ人女性抽象画家、ジョーン・ミッチェルや、夫だった抽象画家ロバート・マザウェルに比べ、フランスでは理不尽なほど知名度が低い。彼女の大個展はパリでは半世紀以上なかったという。ここでは1959〜62年に即興的な動きで制作した油彩、アクリル、水彩を展示している。会場2階のビデオを見ると、フランケンサーラーは、色を薄めて容器からそのまま画面に流したり、スポンジや掃除用具のようなものも使って描いていた。動きがあっても破壊性はなく、色も形も落ち着くところに落ち着いている。作者と作品の間に、見る人がほっと息がつける空間がある。長年彼女の個展を開いてきたニューヨークのガゴシアン画廊のパリ支店が会場。エリゼ宮に近く、前に警備員がいてちょっと敷居が高いが、めったに見られない作品ばかりなので、この機会を逃すのは惜しい。大きな顔をして入っていこう。(羽)
9/16迄 日・月休