昨年、画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853年3月30日 – 1890年7月29日)が自殺をはかる数時間前に描いた「木の根と幹」の場所が確定されたことが話題になった。ゴッホ・インスティチュートの研究者ヴァウター・ヴァン・デア・ベーンさんがロックダウン中に、「木の根と幹」作品にそっくりの場所を、古い写真葉書に見つけたのだった(写真下)。
しかし今年5月になって、昨年確定された場所が間違いないことを裏付ける写真が発見された(冒頭の写真)。« Pontoise Museum »という、郷土史の好きな個人が運営しているブログを読んでいた人が、そこに掲載されていた1907年の写真が、昨年発表された絵葉書と似ていると気づいたのがきっかけ。
ゴッホ・インスティチュートもこれで断定できたとし、131年間の謎が解けたことを発表。またこの命日に、ゴッホの曾姪孫にあたるヴィンセント・ヴァン・ゴッホさんや、オランダのゴッホ美術館館長とともに、オーヴェール・シュル・オワーズを再び訪れ、ひまわりの花輪をヴィンセントとテオの墓に手向けた。
ゴッホは南仏の精神病院から1890年、弟テオのいるオヴェールにやって来た。役場の向かいのカフェ「ラヴー亭」の3階の部屋を宿として、死ぬまでに80点近くの絵画を描いたが、7月27日にピストル自殺を図った。その数時間前に描いていたのが、この『木の根と幹』なのだという。
「ゴッホの最期の日々、オヴェール=シュル=オワーズ再訪。」の記事はこちらから。
- 木の根があるのは、46 rue Daubigny 95430 Auvers-sur-Oise (ゴッホが宿泊し没したAuberge Lavoux から150m)だが、この根がは、板塀に覆われたままで見ることができない。事情はこちらから。
- 木の根の場所を昨年発見したヴァウター・ヴァン・デア・ベーンさんは20年来ゴッホ研究を続ける研究者。この発見の経緯を書いた本を無料で公開中。https://arthenon.com/boutique