Cécile Mclorin Salvant“Ghost Song”
セシル・マクロリン=サルヴァント が歌っているバルバラの『Ma Plus Belle Histoire d’Amour』を聴いてほしい。一つ一つの言葉への心づかい、サリヴァン・フォートナーのピアノと対話する間のとり方の絶妙さ、クリアーで表情豊かな声!
マイアミ生まれ32歳。父はハイチ出身、母はグアドループ出身で、ジャズやブルースだけでなく、アフリカ、カーボベルデ、カリブの音楽を聴きながら育ったという。フランスに渡ってエクス・アン・プロヴァンス音楽院でジャズとバロックの声楽を学び、これまでにグラミー賞を2度受賞…。
マクロリン=サルヴァントの最新アルバムの1曲目は、ケイト・ブッシュの名曲『Wuthering Heights』で、ブッシュ以上に神秘的な雰囲気をただよわせる。タイトル曲『Ghost Song』はゴスペル調の曲だが、力まずにどこまでもナチュラルなのがいい。ラストは『The Unquiet Grave』。英国15世紀の亡き恋人をしのぶ民謡をアカペラで歌いとおすのだが、微妙な声の抑揚に胸をつかれる。曲の中でテンポやムードを変えながらひき出していくドラマ性、ジャズにこだわらない広い音楽性、彼女らしさがいっぱい詰まった名盤だ。(真)
Nonesuch/17€前後。