毎年、街で水仙売りに出会うと、春が来たな、と思う。曇り空の下、黄色い花が鮮やかに、まぶしく感じられる。3月20日は春分だ。28日には冬時間から夏時間に変わる。28日午前2時に、時計の針を1時間進めて、3時に…。はて、この時間の切り替え、もう終わるのではなかったか…。
フランスは、独、英などと同じく、1916年にサマータイム制度を導入した。45年に一度打ち切ったものの、石油危機で省エネ意識が高まり76年から再び実施。しかし健康や睡眠への悪影響や期待された省エネ効果もさほど得られず、欧州他国とともに廃止の方向へ向かった。
欧州議会は2019年3月、時間切り替え制度の廃止を決定、2021年には廃止に踏み切るとしていた。加盟各国が制度廃止後の標準時を夏時間にするか冬時間とするのかを決め、夏時間を採用する国は、この3月が最後の時間の切り替えになるはずだった。しかし、隣国で時間が違えばそれも厄介だ。フランスでは6割の人が夏時間を希望。ベルギーは冬時間派が夏派を上回っている。オランダ、フィンランド、デンマークなどの国も冬派だそうで、今後の加盟国間の調整が欠かせない。そして最終的には欧州理事会の承認が必要だが、コロナという優先案件のせいで協議の日程にも入っていない。これもまた、コロナ後に持ち越しとなるのだろうか。(六)