“Un été au Havre 2017”
Le port de François 1er a 500 ans!
市庁舎から浜辺まで続くポップなパレードで開幕した「ル・アーヴルの夏2017」は、市民も観光客も散策しながら無料でアートが楽しめる、町をあげての開港500周年イベントだ。作品を探して歩くうちに、知らなかった町の側面を発見したり、アートがあることで見慣れた町が新鮮に見えてきたり、と収穫は多い。ジャン・ブレーズがナントで行ったのがまさにこれだ。
駅に着いたときから、アートの旅は始まっている。駅正面の屋根に、ジュリアン・ベルティエの横長の大きなバックミラーが立っている。そこに丘の風景や市庁舎が歪んで映り、見る場所によって画像が変わる。画像自体が、変化し続ける作品だ。
この町を再建した建築家ペレの代表的な建物で、 ル・アーヴルのランドマークでもあるサン・ジョゼフ教会の祭壇の上には、2015年ヴェネツィア・ビエンナーレで話題になった作家、塩田千春のインスタレーションがある。らせん状の枠に張り巡らされた赤い毛糸が渦を巻き天に向かっている。業を焼き尽くす神の炎のようでも、ル・アーヴルを襲った爆撃の炎のようでも、キリストの血のようでも、祈る人のエネルギーのようでもある。
海辺に行くと、ポール(港)センターのそばに、レゴを積み上げたような、ヴァンサン・ガニヴェのアーチがある。港で使うコンテナによく使われる色を塗って組み立てたという。学校で使う子どものクレヨン色。楽しい作品に、子どもも大人も大喜びだ。
海辺では、サビナ・ラングとダニエル・バウマンが作った白い幾何学の彫刻が青い空に映えている。浜に並ぶ海水浴客用のキャビンは、10色に塗られた。オランダのカレル・マルテンスの作品だ。ル・アーヴル開港を命じたフランソワ1世の法令の文章をコンピューターで分析し、10色の帯で表した。イベント後は元の白に戻される。