● 13区・14区
トラムでセーヌを渡り、13区に入って最初の停留所がアヴニュー・ド・フランス。大規模な再開発「パリ・リヴ・ゴーシュ計画」で造られた人工地盤の大通りが、トラムの通るマセナ大通りと陸橋と交わる場所で、やたらに広い通りには自己主張のつよい建物群が並び、パリとは思えない奇妙な景観が広がっている。
この大通りの西の隅の工事現場から、石とレンガの古い建物が顔を出している。オルレアン・サンチュール駅です。建物横に組まれた鉄階段で大通りから下に降りると、アーチの連なる駅舎がずっと立派に見えてくる。1867年に建てられた駅舎は、ノルマンディーやパリ西方の駅によく見られるスタイル。
この駅はオーステルリッツ駅からの郊外線とプチット・サンチュールとの乗り換え駅だった。プチット・サンチュール廃止後、1970年代から郊外線の、そしてRER-C線のブールヴァール・マセナ駅として使われていた。2000年にビブリオテーク・F・ミッテラン駅が新設された際に閉鎖。2016年の再利用計画コンペでリナ・ゴットメによる案が選ばれた。都市型の農業生産と食をテーマにした「Ré-Alimenter Masséna」という名のプロジェクト。駅舎とマセナ大通りの間に緑に覆われた、別名《食のバベルの塔》は、2019年完成の予定です。
ポルト・ディタリーの北西、ダメーム通り(rue Damesme)の南端から、2016年に開園した、「Jardin de la Poterne des Peupliers」(ププリエ公園)に入ります。公園東端のトンネルから出た線路がきれいに整備され、約500mの散歩道が西へ伸びている。複線のレールの片方が埋められ、車椅子でも通れるようになっています。線路のすぐ南にトラムの走る環状道路があるけれど、線路際の木立で騒音も気にならない。広い空に小鳥がさえずり、老人や子どもたちがのんびり過ごしている。途中ププリエ通りを越えてマドレーヌ・ブレス通りまで。ここは貨物専用のランジス駅跡の再開発地域です。
ここからトンネルに入る線路は、14区、モンスーリ公園に向かう。モンスーリの線路は、ビュット・ショーモンと同様、深い木立で覆われた谷間にあって、RER・B線のシテ・ユニヴェルシテール駅のホーム直下のトンネルに消えています。
ポルト・ドルレアンからジェネラル・ルクレール大通りをアレジアへ向かってすぐの西側に、モンルージュ駅がある。アーチ型の窓が連なるホールの上に、時計の付いた小さな2階がちょこんと載っている駅は1867年のもの。
2014年から駅舎とホームのある掘割の部分を含めた再利用の工事が行われ、ほぼ完了している。駅舎はどうやら「Poinçon」(ポワンソン)という、バー、食堂を備えたコンサート会場と展示室になるらしい。掘割の上には125戸の集合住宅が完成しています。
ポルト・ド・ヴァンヴの北、パチュルル通り (rue Paturle)がモンパルナス駅からの線路の土手にぶつかる場所にポツンとあるのが、ウエスト・サンチュール駅。どこか田舎の駅を思わせる1967年の駅舎は、SNCF関連のオフィスに使われています。
線路はこの駅からSNCFの線路下をくぐり、15区のブラッサンス公園に向かいます。