フランス語で sabre (刀)といわれるタチウオ。以前は、1メートル以上あるものが渦巻状にされて魚屋に並んでいたものだ。最近はおろし身がほとんどで、新鮮度が判断できにくいから、たたきにするのは心配だし、焼いたりすると中骨がないのでこわれやすい。
そこで、茶わん蒸しの具にしたり、つみれにしたりと工夫が必要。さっと焼いたり塩ゆでにしたものを、少しくらい身がこわれてもかまわないから、春雨や塩もみしたキュウリなどに混ぜ入れて、レモンの搾り汁を加えた三杯酢と和えると、さっぱりとしたうまさ。
揚げものにも向いている。てんぷらにするとキスだってかなわないくらい(830号)。今回は唐揚げにして丼です。まず、やや濃いめの天つゆを作っておく。タチウオのおろし身は揚げている最中にこわれないように、8センチほどの長さに切り分けてから細い棒状に切り分ける。塩、サンショウかコショウを振りかけ、コーンスターチ(あるいは片栗粉)を薄くまぶし、どちらかというと強めの温度でカラッとなるように揚げていく。油は落花生油にゴマ油少々を混ぜ入れたものがいい。油を切ってから、ショウガやネギと一緒に熱々のごはんに盛り上げ、天つゆをかけまわせば極上の丼が誕生する。(真)