Encornets à la basquaise
イカを柔らかく食べようと思ったら、炒めすぎたりゆですぎたりしないように、というのが常識だが、その常識をくつがえすようなイカ料理がバスク地方にある。なんとトマトや白ワインといっしょに2時間以上煮込むのだ!
バスク地方では、ふつうシピロンと呼ばれている小イカで作るのだが、今回は魚屋で見つけた鮮度のいい中イカencornetを使うことにした。まず胴の中に指を差し入れて、胴の裏についている軟骨を引き抜き、次に足といっしょにハラワタを出すのだが、小さな墨袋を破らないようにくれぐれも気をつけたい。その墨袋を小さなボウルにとり、ハサミで切って墨を出し、水100cc、コーンスターチ小さじ1杯と混ぜ合わせておく。ハラワタを捨て、目とトンビを切りはずしてから、足をいくつかに切り分ける。胴は、皮をむいてから細いリング状に切る。玉ネギ、ニンニク、パセリはみじんに切っておく。
ココット鍋などにオリーブ油をたっぷりとり、まず玉ネギとニンニクを炒める。玉ネギが透き通ってきたらイカのリングと足を加える。10分ほど炒めたら、カットトマト、白ワイン、イカの墨を水ごと加える。この墨が味わいをよくし、ソースを深みのあるいい色にしてくれるのだ。タイムとローリエの葉を糸で結わえて入れ、エスプレット産トウガラシを振りかけ、パセリを加え、軽く塩をする。沸騰したら弱火に落とし、ふたをして2時間ちょっと火を通していく。ときどきふたをとって混ぜ合わせ、水気が少なくなっているようなら、焦げつかないように水を差す。イカならではの匂いが台所にあふれてくるだろう。
ここまでをやってから数時間寝かせ、食べる前にもう20分ほど火を通すと、おいしいソースを吸ったイカは、さらに柔らかく、おいしくなる。付け合わせはごはんが一番だ。かなりこってりとした味なので、ロワール産などの軽い赤ワインか、まろやかな白が合うだろう。(真)
4人分:イカ700g、玉ネギ2個、ニンニク4片、缶詰のカットトマト400g、白ワイン250cc、水100cc、コーンスターチ小さじ1杯、パセリ適量、タイム少々、ローリエの葉1枚、エスプレット産トウガラシ、塩。