子牛肉のタルタルステーキ、おいしく仕上げるコツは調味料。

Tartare de veau
Tartare de veau

 肉好きのフランス人は、肉の味が勝負のタルタルステーキに目がないので、冬でもビストロなどのメニューに欠かさず載っている。タルタルというと、牛肉のランプ rumsteck のような脂身の少ないところを使うのがふつうだが、今回は趣向を変えて子牛のもも肉 noix だ。肉屋に出かけて「シ・サン・グラム(600g)・ド・ノワ・ド・ヴォ、エスカロッペ、トレ・フィヌマン」などと頼み、できるだけ薄くそぎ切りにしてもらう。持ち帰ったら冷蔵庫に入れておき、調理する1時間ほど前に冷蔵庫から出すことにしよう。

まず白玉ネギを緑のところも含めてみじん切りにする。松の実 pignon de pin を軽く煎っておく。

子牛肉は、麺棒などで軽くたたいたら、細くひも状に切り分け、みじんに切る。これを大きめのボウルにとって味つけすることにしよう。まずマスタード、クルミ油(なかったらオリーブ油)を加えて混ぜ合わせる。さらに白玉ネギ、松の実、ケッパーを混ぜ入れ、塩の華、コショウで味を調える。そして卵黄と、柔らかな風味のチャービルcerfeuil の葉をひとつかみ加える。きざんだパセリだと子牛肉には香りが強すぎるからだ。丁寧に丁寧に混ぜ合わせたら、最後にレモンの表皮をおろしながら振りかける。レモンは有機栽培のものにしたい。

牛肉のタルタルというと、ケチャップやウースターソース、タバスコ少々を混ぜ入れたりするのだが、これでは子牛肉の優しい味が負けてしまうので避けたい。辛みが足りないという人は、エスプレット産の粉末唐辛子適量を振り入れることにしよう。

各人の皿にイラストのようにきれいに盛りつけ、マーシュ菜やルッコラ菜のサラダを添えるといい。付け合わせはジャガイモのフリットが定番だが、ぼくは、新ジャガを皮付きのまま弱火でじっくりと炒めたものにする。肉の味つけにはそれぞれ好みがあるので、マスタード、ケッパー、塩の華、コショウも忘れずに食卓へ。ワインは赤でもたとえば、まろやかで上品な味わいのシノンがおすすめだ。(真)

4人分:子牛のもも肉600g、卵黄2個、緑の茎付きの白玉ネギ2本、松の実大さじ2杯、ケッパー大さじ2、3杯、クルミ油(オリーブ油)大さじ2杯、マスタード大さじ1杯、チャービル適量、レモン適量、塩、コショウ


Pignon de pin

 マツカサの中に入っているマツの実。食用にされるほど大きいものは、地中海沿岸ではイタリアカサマツの実だ。フランスではジロンド県やシャラント・マリティーム県、コルシカ島などの海岸沿いに生えているけれど、主要な産地はスペインやトルコ。イタリア料理ではバジリコのペストソースに欠かせないし、タルトやキッシュに入れれば香ばしくなる。マグレブ料理ではタジンやブリックに。ホウレンソウやマーシュ菜のサラダに加えるとその歯ざわりがうれしいものだ。韓国料理でもタイの刺身に添えられたり、高級なおかゆに入ったりと大切にされている。


Mâche

 マーシュ菜はノヂシャの若葉で、10月から3月にかけて八百屋の店頭に出まわる。冬のサラダの主役級だけれど、「doucette」と呼ばれたりするように、淡白すぎるほどの味わいなので、やはり秋冬が旬のアンディーブと組み合わせたり、リンゴやクルミを入れたり、生ハムやカリッと炒めたベーコンを加えたり工夫したいもの。ビネグレットソースにも、多めにコショウを挽いて入れたり、マスタード少々を加えたりするといい。肉・魚料理に添えると、その鮮やかな緑色が美しい。ナント産が一番とされている。


Zeste de citron

 zesteは、レモンやオレンジの表皮のことだが、料理によっては、この表皮をおろしたり、小さく切り分けたりして加え、柑橘(かんきつ)類特有の香りをつける。おろすときには、目の細かいおろし金を使うのだが、表皮のすぐ下の白く柔らかいところは苦みがあるので、おろしすぎないように気をつけたい。専用の細長いおろし金râpe zesteurや、表皮をひっかくようにしてとるzesteur があると、この作業が楽になるだろう。


 

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