近い将来フランスは日本酒の上得意さま?
日本酒の輸出は2010年から右肩上がり。8年間、輸出金額も数量も、過去最高記録を更新し続けている。2017年は187億円、一升瓶にして約1300万本。最大の輸出先アメリカは日本酒の輸出金額全体の33%を占め、次いで香港、中国、韓国、台湾と続く。昨年は9位にイギリスが入り、フランスは、10位のベトナムとほぼ同じ輸入金額だった(財務省)。
とはいえ、「日本酒がブーム」と、人気が自然発生したかのような表現は適切ではないだろう。「70年代に日本酒の消費が低迷した頃から、政府は輸出の促進に取り組んできた」と前出のユエさんも言う通り、今の活況は数十年にわたる関係者の努力の成果でもある。今、内閣府が進める「クールジャパン」戦略にも国税庁、農水省、経済産業省、外務省、観光庁などが参画し、日本酒の振興のための大がかりな機械を動かしている。「酒蔵ツーリズム」でインバウンド客を取り込むのもその一貫だし、2年後の東京五輪も日本酒を宣伝する絶好の機会として見据えられている。来年からは日・欧間経済連携協定(EPA) により関税が撤廃され、輸出拡大への更に大きな後押しとなる。
内閣府の資料では、イギリスとフランスは欧州の「重点輸出国」。フランスは「ポップカルチャーを含む日本文化のファンが多く日本酒が浸透する余地は大きい」市場。日本酒愛好家や輸出入業者、JETROなどの取り組みで日本酒の認知度も上がり、フランス人が審査員の日本酒コンクール、Kuramasterも浸透してきた感がある。国際ワイン見本市Vinexpoや外食産業見本市SIRHA、レストランガイドのランク付けなども、世界へ向けての情報発信力が強い分、フランスは魅力的な市場のようだ。