
この町のランドマークは?と聞くと「Les mamelles de Saint-Etienne サンテティエンヌの乳房」と返ってきた。町からすぐのクリエ炭鉱にある、双子のボタ山のことだ。クリエ炭鉱はロワール県最大の炭鉱で、1500人を雇い73年まで石炭を採掘を続けたが、今は人気のミュージアムとなっている。
19世紀前半、サンテティエンヌは大きく発展した。1827年にはフランス初(欧州大陸でも初)の鉄道がサンテティエンヌからロワール川沿いのアンドレジユまで敷かれ、石炭を運んだ。鉄工業、炭鉱、鉄道の近代的な整備のために人と資本が集まり、産業革命がおこる。銀行、商工会議所、絹取引所、エンジニア学校、美術学校が置かれるが、それまで県庁所在地だったモンブリゾンからもその座を奪ってしまうほどの発展ぶりだった。
ユネスコがフランスで唯一「クリエイティブなデザイン都市」と認定したこの町には、かつて武器工場だった広大な跡地を活用した「シテ・デュ・デザイン」がある。この春はデザイン・ビエンナーレが開催され、国立デザインギャラリーもオープン予定だ。世界でもおそらく最高峰のシルクリボンのコレクションのディスプレイが一新された産業芸術博物館もおすすめだ。サンテティエンヌは産業遺産とデザインの宝庫なのだ。(美)

Musée d’Art et d’Industrie de la ville de Saint Etienne
Adresse : 2, place Louis Comte , Saint Etienne , FranceTEL : 04 77 49 73 00
アクセス : トラムT1か、T2でAnatole France 下車。
URL : https://mai.saint-etienne.fr/
月休、1/1、5/1、7/14、8/15、11/1、12/25は休館。火〜日:10h-18h. 入場料:6.65€/5.10€
