総選挙、左派連合が第1勢力に。
7月7日に決戦投票が実施された国民議会議員選挙(総選挙/定員577人)で、左派連合「新人民戦線」が182議席を獲得して第1勢力となった。トップと予想された極右の国民連合(RN)は143議席で、第2位の与党連合168議席に次ぐ3位に止まった。いずれの勢力も過半数に達していないため、新政府がどう形成されるかはまったく不透明だ。
第一回投票から決選投票まで
6月30日の第1回投票では、RN(および共和党シオッティ派)が33.35%で、50%以上の得票率で早くも当選を決めた候補者は39人に上った。新人民戦線は28.28%(同じく31人当選)、与党連合21.79%、共和党(LR)7.25%と、欧州議会選に続くRNの地滑り的勝利となり、決戦投票で国民議会の過半数獲得あるいは、少なくとも第1党への躍進が予測された。
この結果を受けて、新人民戦線はただちにRN阻止のため、第1回投票で3位につけた候補を互いに取り下げるよう与党連合に呼びかけた。与党連合のなかには左派との共闘はできないと候補取り下げを拒否する候補もいたが、結果的に左派連合と与党連合の合計224人が立候補を取り下げた。この結果、決戦投票では新人民戦線182議席、与党連合168議席、RN143議席、共和党45議席、その他の右派15議席、その他の左派13議席という結果に。
困難な、首相任命と組閣。
左派連合は「マクロン主義」の終焉を宣言するとともに、国民が「最悪の解決策」を明確に避けたことを称賛した。RNは予測された200前後の議席は取れなかったものの、89議席から143議席に躍進。ルペン氏は「今回の潮流は十分に高くはなかったが、次回は…」と意欲を見せた。バカンス期にもかかわらず投票率も高く、前回2022年の総選挙より20ポイント増の66.6%。この割合は1997年以来の高さで、国民の関心の高さや危機感を反映した形だ。
与党連合が国民議会の多数勢力の座を失ったため、アタル首相は8日にマクロン大統領に辞表を提出。しかし大統領は、次の首相が決まるまで首相の職にとどまるよう要請した(左派連合は今週中には首相を選ぶとしている)。いずれの党派も議会の過半数に達せず、政策が非常に異なる3つの勢力が似通った議席数を有する状況のなか、首相任命と組閣は難航しそうだ。
与党連合は水面下で新人民戦線のなかの穏健派に接触しているとされるが、新人民戦線を形成する「服従しないフランス」党(LFI)、社会党、ヨーロッパ・エコロジー=緑の党(EELV)は、国民が「ノー」を突き付けた与党連合との提携はあり得ないとする。マクロン大統領は18日の国民議会の初召集を待ってから首相任命の決断をしたい意向を漏らしているという。(し)