大聖堂やシャンパンなどで名高いランスは、パリから北東に150キロ。東駅から電車で約45分の中堅都市だ。ここで2020年に刑事や推理ものなどの犯罪映画を集めた映画祭 Reims Polar (ランス・ポラー)が誕生した。そう聞くとまだ新しく思えるが、ランスの前身として1982年からコニャック、ついで2009年からボーヌで開催してきた映画祭を引き継いでおり、その歴史は40年以上を誇るものだ。
今年は犯罪映画を多く手がける黒沢清監督が映画祭の主役に。4月4日(金)14hからはラジオの公開放送(フランス・キュルチュール局「Mauvais Genres」で監督インタビューが放送)と、夜は新作『Cloud クラウド』のフランス国内初上映が。翌日4月5日(土)15hからは、「映画のレッスン」と題された入場無料のマスタークラスが実施される。黒沢監督が自身の映画観について特別講義を行う予定で楽しみだ。
映画祭期間中には、『CURE』『回路』『スパイの妻』『カリスマ』などの旧作の上映も。映画祭の資料には「約50年のキャリアと30本以上の監督作のある黒沢清は、第七芸術の映画界でその名前を確立。血縁関係はないあの黒澤明との人違いを完全に払拭した」とある。

他にも映画祭は大物を招待。イギリスの大御所スティーヴン・フリアーズ監督は名誉ゲストとしての招待。『グリフターズ/詐欺師たち』『魅惑のチャンピオン』など過去作を紹介する。
映画祭は世界の犯罪映画9本を集めたコンペティション部門と、新しい才能を集めた部門「Sang Neuf」を用意。それぞれ審査委員長はブリュノ・ポダリデス監督、俳優のサミ・ブアジラが務める。また、映画祭の恒例企画がクロード・シャブロル賞だ。フランスを代表するミステリー映画の巨匠の逝去後、2011年から映画賞が立ち上げられ、前年度に発表されたフランス映画の中から優れた犯罪映画を選出している。
今年の受賞作品はジュリアン・コロンナ監督の長編第1作『Le Royaume』。カンヌ映画祭「ある視点」部門で紹介され評判が広まった作品で、コルシカ島のギャング間抗争を背景に、15歳少女と父親との関係を描く。4月3日にシャブロルの養女で作家で脚本家のセシル・メストル・シャブロル氏が出席のもと、賞が授与される予定だ。
また、『主婦マリーがしたこと』『愛の地獄』『仮面』といったシャブロル映画を集めた特集「シャブロルの悪の華」、『第三の男』から『プロミシング・ヤング・ウーマン』まで、新旧織り交ぜた英国の犯罪映画を集めた特集「British Noirs」など名作を数多く上映。
さらに4月3日から5日までは、映画祭と観光局と協力した2時間のガイドツアーも実施。「犯罪と罰」をテーマに、街の中心街をガイドが案内してくれるという。パリからアクセスも便利なランスで、心をザワザワさせる犯罪映画に浸りにきてはいかがだろう。会場はランス駅前の名画座 Cinéma L’Opéraimsだ。
★パリでもマスタークラス!
黒沢監督のマスタークラスはパリでも、4/8(火)に開催される。
今回、ランスに行けない方は、この☟パリのマスタークラスを狙ってみよう。
申し込みはこちらから。

第5回 Reims Polar 映画祭
映画祭公式サイト:reimspolar.com
期間:2025年4月1日(火)〜 6日(日)
会場:Cinéma L’Opéraims
住所:72 place Drouet d’Erlon – Reims
料金:チケット一枚10 € /学生や25歳未満の割引6 € 無制限の映画祭パス 60 €/学生や25歳未満の割引40 €
予約:billetterie-hopscotchcinema.festicine.fr/fr/ticketing
Reims Polar 映画祭の観光ガイドツアー
18€(映画チケット付き)/12€
予約:www.reims-tourisme.com/produit/festival-reims-polar-visite-guidee-speciale-billet-festival/


Cinéma L’Opéraims
Adresse : 72 place Drouet d'Erlon , 51100 Reims , FranceTEL : 03 26 78 20 00
アクセス : SNCF Reims
URL : https://www.operaims.fr/
