マルグリット・ドートリッシュ(1480-1530)は、神聖ローマ皇帝、マクシミリアン1世の娘。3度目の結婚で寡婦となった後、オランダ総督となり、政治的手腕を発揮した。芸術家のメセナでもあった。200点あったという北ヨーロッパ有数の彼女の絵画コレクションは散逸したが、目録をもとに、それを再現させようとしたのが本展だ。1430-1500年の初期フランドル派と、彼女が注文した、ゴシックと北方ルネサンスの境目にある同時代の画家の作品で構成されている。最後の夫サヴォイア公の死を悼むために彼女がブール・ガン・ブレスに建てた修道院が会場だ。彼女が住むはずだった部屋(完成前に死去)は、最近改装を終えて公開された。マルグリットの肖像として名高いのは、彼女の宮廷付芸術家、ベルナールト・ファン・オルレイの作品(写真)だ。透けて見える襟の美しさは絶品で、意思が強そうな表情とあいまって、気品のある肖像画になっている。初期フランドル派の代表的作家、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン、ハンス・メムリンクのほか、ヒエロニムス・ボスの工房による作品もあり、見ごたえ十分の展覧会。隣接するフランボワイアン・ゴシックの教会も素晴らしい。(羽)
8月26日まで、無休。Monastère Royal de Brou:
63 bd de Brou 01000 Bourg-en-Bresse
パリ・リヨン駅からTGVで2時間 Bourg-en-Bresse下車。
駅から徒歩15分。 www.monastere-de-brou.fr