大学生による、経済的窮状を訴える抗議活動が全国に広がっている。発端となったのは、リヨン第2大学で政治学を勉強する大学生アナス・Kさん(22)の焼身自殺未遂。経済的に厳しい生活を送り、学生の経済的困難を訴え「マクロン、オランド、サルコジ、EUを糾弾する」メッセージがSNSに投稿していたアナスさんは11月8日、CROUS(地方学生支援センター)本部の前でガソリンをかぶり火を点けた。火傷は体の表面積90%におよび、生死をさまよっている。
その翌日から大学生の窮状を訴える抗議行動が全国で続いている。アナス・Kさんが在籍しているリヨン第二大学は大学が閉鎖に。パリでは火曜の晩、高等教育省の鉄柵が学生たちにより外され、リール大学ではフランソワ・オランド前大統領が講演会を行う予定だった法学部の講堂に400人が進入し、オランド前大統領の著書を引きちぎるなどし、講演会が中止となった。
国立統計経済研究所の数字では、学生の10人に8人は親からの援助だが、援助額は親により年間1310€〜7050€と大きな差がある。学生のアルバイトは46%と増加傾向にある。学生寮の数は不十分で、一般住宅の家賃は高くなる一方だ。学生が3度の食事がでなかったり、医者にかかるのを断念していることなども調査で指摘されていた。自殺をはかった大学生も、学生寮の家賃が払えなくなり、両親とガールフレンドの家を行き来するなどしていたという。