第14回 キノタヨ現代日本映画祭「日本映画の多様性」フランスで紹介

フランスに昇る輝く “金の太陽”こと「KINOTAYO」。今年もフランス最大の邦画の祭典キノタヨ映画祭がやって来た。昨年度は日本文化の祭典「ジャポニスム2018」の影響で日程が後ろ倒しされ、例外的に年明けの開催に。14回目となる今回は、もともとの実施時期に戻って平常運転となる。

パリの会場は計3カ所。前回から引き続きエッフェル塔近くのパリ日本文化会館と、シャンゼリゼ大通り近くのクラブ・ドゥ・レトワール・シネマに加え、今年は世界屈指の東洋美術専門美術館のギメ東洋美術館が新たにパートナーに加わった。イル=ド=フランスと地方の会場は、リヨン、ストラスブール、カンヌなど12カ所に巡回予定。

柱となるコンペティションは全11本。オープニング上映は富田克也監督の新作『典座-TENZO-』(11月27日からは劇場公開も)。クロージング上映は1926年制作の衣笠貞之助監督の無声映画『狂つた一頁』。特別上映はカンヌを沸かせた三池崇史監督『初恋』と、主演の柳楽優弥とKENTARO監督が作品紹介に来場する『ターコイズの空の下で』。充実のラインナップと豪華なゲストで、フランス在住の日本映画ファンを迎える。プログラム担当の選考委員ディミトリ・イアンニさんに話を伺った。

 

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「邦画の多様性を見せるという基本は変わりません」
キノタヨ選考委員ディミトリ・イアンニさんインタビュー

-KINOTAYO映画祭は今年で14回目。映画祭の目的に変化や進化はありますか。

「『日本映画の多様性を見せる』という基本姿勢は変わりません。全ての形式に心を開き、最大限の観客に日本映画の豊かさを見せたいと考えています。今年のコンペであれば、スターが競演する鈴木雅之監督の商業作品『マスカレード・ホテル』と、日雇労働者ら社会のはみ出し者が登場するインディペンデント作品の佐藤零郎監督の『月夜釜合戦』など、対極な作りの作品も並列に見せます。『岬の兄妹』の片山真三監督や『ターコイズの空の下で』のKENTARO監督のように、長編第1作目の新しい才能も積極的に紹介。日本はあまりコメディが得意な国ではないと思うのですが、吉田恵輔監督のコメディ『愛しのアイリーン』は出色。フィリピンへ嫁探しツアーに行く男の話で極限のブラックユーモアが効いてます。今回は女性監督がいませんが、それはたまたま。他の年は女性監督も多いですよ」。

©️「月夜釜合戦」製作委員会

-今年は弁士関連の映画が新旧2本あります。無声映画の時代にスクリーンの隣で作品解説する“活動弁士”は、現代の日本人にとっては身近な文化でないので新鮮に映ります。

「残念ながら忘られつつある文化ですよね。私たちは映画を通して、日本文化を紹介することも意識しています。コンペにある周防正行監督の『カツベン!』は、約100年前が舞台の弁士のドラマ。日本映画の起源を見せる文化的なテーマと、エンターテインメントが見事に掛け合わされた逸品です。一方、ギメ美術館のクロージング上映で登場するのが、衣笠貞之助監督の前衛的な無声映画『狂つた一頁』。フランス人のシリル・コピーニ氏が弁士として登場し、音楽演奏付きで作品を盛り上げます。生の弁士付き上映を貴重なこの機会にぜひお楽しみ下さい」。

©️2019「カツベン!」製作委員会

-最近の邦画の特徴はありますか。

「ここ数年続く特徴ですが、外国で撮影したり、外国と共同製作をする作品が目立ちます。KENTARO監督作品『ターコイズの空の下で』はモンゴル、キノタヨ常連である深田晃司監督『海を駆ける』はインドネシア、𠮷田監督の『愛しのアイリーン』はフィリピン撮影ですね。海外で映画を勉強した人も大変多いです」。

-昨年は映画祭の呼び水となるような上田慎一郎監督の話題作『カメラを止めるな!』があり、キノタヨの最高賞ソレイユ・ドールを受賞しました。今年の目玉作品はなんでしょうか。

「『カメラを止めるな!』は日本で拡大公開され話題になる前に、ニッポン・コネクション映画祭(ドイツのフランクフルトで開催される世界最大の日本映画祭)で見て決めていました。それぞれの作品に魅力があるので、目玉作品は挙げにくいです。ただ、今年は日本映画にとって飛び抜けた収穫の年ではなかったと思います。カンヌ映画祭でも選ばれた邦画は少なかったですし」。

-たしかにアニメ以外の日本映画は、フランスでは存在感を出しにくいのが現状かとは思います。とはいえ、昨年は是枝裕和監督の『万引き家族』がカンヌで最高賞のパルム・ドールを受賞し、フランスで77万も観客を集めました。濱口竜介監督の『ハッピー・アワー』は15万人、『家族のレシピ』は10万人の観客を集めるなど、劇場公開されて健闘する邦画もあります。

「フランスにおける実写の邦画の配給数は年5本くらいでしょうか。以前と比べ随分と減りました。濱口監督の例は希望です!しかし、根っこの部分で製作の問題は深刻です。独立系作品の製作費があまりに低いのは問題。10年前に作れていた規模の予算の映画が、もう作れなくなってしまった。濱口監督や深田晃司監督らが道を切り拓き続ける国際共同製作は良い流れ。一方で、現在は相対的に他のアジアの国々の作品の人気が上がってるのは気になります。タイのアピチャッポン・ウィーラセタクンや中国のワン・ビンなど、ヨーロッパが製作していますから」。

-ちなみに今回、コンペの作品の中ですでに配給が決まっている作品はありますか。

(左)深田晃司監督の『海を駆ける』©️2018「海を駆ける」製作委員会、(右)大森立嗣監督『日日是好日』

「深田晃司監督の『海を駆ける』(2020年春頃劇場公開予定)、大森立嗣監督の『日日是好日』(2020年2月5日劇場公開予定)はすでに配給が決まってます。三宅唱監督の『きみの鳥はうたえる』、佐藤零郎監督『月夜釜合戦』、周防正行監督『カツベン!』などは配給の可能性は十分あるのでは」。(聞き手=瑞)

【Informations】
第14回キノタヨ現代日本映画祭
11月26日〜2020年2月2日
https://kinotayo.fr/jp

上映日程 ・会場
●パリ会場
2019年11月26日(火)~12月9日(月)
パリ日本文化会館、クラブ・ドゥ・レトワール・シネマ、ギメ東洋美術館
※ギメ東洋美術館では上記期間外でも定期的にコラボレーション上映実施

●イル=ド=フランス、地方会場2019年11月26日(火)~2020年2月頃まで
パテ・アエロヴィル(ロワシー=アン=フランス)、ユートピア(サン=トゥアン=ロモーヌ)、ル・コンティ(リル=アダン)、シネ・プラネット(アレス)、ロランピア(カンヌ)、ル・カネ・トワール(ル・カネ)、マルリマージュ(マルリ)、ル・ヴォバン(サン・マロ)、ル・メリエス(ポー)、スター(ストラスブール)、リュミエール・ベルクール(リヨン)、ラストレ(シャンベリ)予定

■ オープニング作品 – Film d’Ouverture
『典座 -TENZO-』Tenzo
監督:富田克也(監督来場)

■ クロージング作品 – Film de Clôture

『狂つた一頁』Une Page Folle
監督:衣笠貞之助
弁士:シリル・コピーニ 音楽演奏付シネコンサート上映

■ 特別上映 – Séances Spéciales
『初恋』First Love
監督:三池崇史

『ターコイズの空の下で』Under the Turquoise Sky
監督:KENTARO ★監督&柳楽優弥(主演)来場

■ コンペティション – Compétition

『きみの鳥はうたえる』 And Your Bird Can Sing
監督:三宅唱 ★菅原和博プロデューサー来場

『閉鎖病棟』 Closed Ward
監督:平山秀幸

『愛しのアイリーン』 Come on Irene
監督:吉田恵輔

『日日是好日』 Dans un jardin qu’on dirait éternel
監督:大森立嗣

『月夜釜合戦』 The Kamagasaki Cauldron War
監督:佐藤零郎 ★監督来場

『海を駆ける』 L’Homme qui venait de la mer
監督:深田晃司 ★監督来場

『マスカレード•ホテル』 Masquerade Hotel
監督:鈴木雅之

『新宿タイガー』Shinjuku Tiger
監督:佐藤慶紀 ★監督来場

『岬の兄妹』 Siblings of the Cape
監督:片山慎三 ★監督来場

『カツベン!』Talking the pictures
監督:周防正行

『楽園』 The Promised Land
監督:瀬々敬久

 

 


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【応募締切】2019年11月19日(火)23:59

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