日本とフランス、言葉の間(あわい)。

Pippa出版 編集者ブリジット・ペルチエさん

ブリジット・ペルチエさんは、1971年に編集者としてのキャリアをスタートした。出版社Economicaを設立した後、別の出版社Eyrollesで医療関連書の編集を数多く手掛ける。そして、20年にわたり、上級技術者免状(BTS)の出版部門の審査員を務めている。

ブリジット・ペルチエさんと、Kolanシリーズの本。

華麗なる編集経験を経て独立し2006年にカルチエラタンで始めたのが 出版社兼書店のPippa だ。

「旅、子ども、文学をテーマにした書物をつくりはじめました。小さな小さな出版社ですが、カメラマンの夫と二人三脚で営み、今年3月には書店拡張のためパンテオン近くに引っ越しました。新たな街でのスタートです」。

Pippaを設立してから今までに、100冊以上の作品を世に送り出してきた。その中に俳句や短歌を扱うシリーズKolanがある。
「2012に、Juliette Schweisguth という俳人の作品を出版したのがきっかけです。彼女は38歳の若さで2011年にこの世を去りました。彼女の原稿を読み終えたその夜、涙があふれたことを今でも覚えています」。それ以降、俳人・歌人のネットワークをもとに出版数を重ねる。最新刊は18世紀の俳人、加賀千代女の 「千代尼句集」。

フランス人にとって母国語であるフランス語で句や歌を作ること、あるいは先達の日本語で詠まれた作品を翻訳するにあたって壁になる、5-7-5の音節。それらは必ずしも翻訳後のフランス語の句には反映されない。本質である作品の意味の深部は、実のところ、言葉という道具を超えて人類が同じように求める、「感じる」ことなのかもしれない。

教育の場での文学、詩の重要性を感じるブリジットさんは、パリの名門校アンリ4世高等学校で行われた『わたしたちの文章で書かれた日本詩の息吹』と題された討論会をまとめ、上梓した。 小林一茶の翻訳者で俳人のマブソン青眼氏もPippaから作品を出している。「マブソン氏の本は、日仏語が半分ずつです。私たちは日本語を本の前半にもってきました。フランスの出版社がフランス人読者向けに本を出すなら、フランス語から始めた方がロジックかもしれません。でも俳句、短歌の世界に踏み込む最初のページを日本語にすることで、わたしたちの日本語への敬意を表したかったのです」という。

Pippa出版と同時にSEME(健康・学習・音楽・希望Santé, Etudes, Musique, Espoir)という協会も立ち上げた。書物を作ること、その書物が人々の手に渡り、人と人が互いの存在に目を向けあうことを目的に文化活動を行うためだ。言葉と言葉、人と人の間(あわい)に託されたブリジットさんの想いは、こうやって言葉と行動によって実現されている。(麻)

朗読会 : 2017年  4月22日、5月6日(土)15時から


PIPPA

Adresse : 6 rue Le Goff, 75005 Paris
TEL : 01.4633.9581
火〜土 11h-19h