2024年7月26日、パリ五輪の開会式が予定されている。オリンピック史上初のスタジアム外での開会セレモニーはパリ都心のセーヌ川が舞台となる。その安全確保のためパリ警視庁は、セーヌ河岸で本や土産品などを売買する「ブキニスト」の本箱を撤去するよう業者に告知した。
これに対してブキニストの団体(パリ・ブキニスト文化協会)は反対の声をあげた。「450年の歴史があり、パリのシンボルでもあるブキニストを景色から消そうという案には賛成できない」というものだ。
パリ市は、ブキニストがセーヌ河岸のアイデンティティーの一部であることを認めるとし、本箱移動のための費用と、その移動により損傷した場合の修理費も負担することを約束。また、五輪開催中はセーヌ川の近くに「ブキニスト村 village des Bouquinistes」を設け、そこで営業することを提案した。
開会式のために移動を要される本箱は、全本箱の59%、570個ほど。パリ市はこれらの箱を、五輪を機に修理することで、「セーヌ河岸のブキニスト」としてユネスコ世界無形文化遺産登録への手続きの駒をすすめることも目論んでいるようだ。