Resonance paintings – Nymphéas 共鳴する絵画―睡蓮 / Oliver Beer
パリとロンドン在住の気鋭の英国人アーティスト、オリヴァー・ビア(1985-)が、印象派150周年記念の一環として、ルーアンの現代アートセンター「Hangar 107」で新作を発表した。この記念イベントで紹介された現代美術作品の中で、最も印象に残ったものの一つだ。
ジヴェルニーのモネの池の水中で発せられる音を録音し、それにBGMのような穏やかな自作の音楽をミックスし、その音が出るスピーカーの上に平らにキャンバスを置く。すると、音の振動で顔料が動く。「音を筆の代わりにし、画面にはいっさい手を触れずに」顔料の動きをキャンバスにとどめた。
モネへのオマージュと言える一連の作品群は、淡いピンク、青、緑などが重ね合わさった有機的な抽象画。水の中に石を投げた時に生まれる波紋のような作品、水面の睡蓮や水中の藻が光を通して透けて見えるかのような作品もある。画面の前に立つと瞑想状態に陥り、何時間でも絵の前にいたいと思わせる気持ちの良い作品だ。
ビアはロンドンのアカデミー・オヴ・コンテンポラリー・ミュージックで作曲を、オックスフォード大学で美術を、ソルボンヌ・ヌーヴェル・パリ第3大学で映画理論を学び、彫刻、インスタレーション、ビデオなど多岐にわたる作品を発表している。音楽と視覚芸術との出会いが、自分の作風のターニングポイントになったという。以前は同じ方法で、単色や2色で、自分の音楽を使って描いていた。
会場となった「アンガー107」は、ルーアンのセーヌ河岸の倉庫(hangar)を再活用した「Le Village by CA Rouen Vallée de Seine」の内にある。スタートアップ60社が入居し、講演会ほかイベントも開催する1800㎡の施設だ。モネの池と共鳴するビアの作品はセーヌ川の水とも共鳴しているようだ。(羽)7月21日まで
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Hangar 107
Adresse : 107 allée François Mitterrand, 76100 Rouen , Franceルーアン市内の交通機関:Bus 33番に乗り、停留所Hangars下車。 TEOR : ligne T4 - Boulevard des Belges下車。 Métro : Joffre Mutualité駅。SNCFルーアン駅からは2.5 kmほど。