独自路線で映画を応援、ナント三大陸映画祭。

Festival des 3 Continents à Nantes 2020 11.20〜29
日本から想田、深田、黒沢作品参加。無料で見られる作品も。

中央アフリカ共和国、アルゼンチン合作のドキュメンタリー映画”Makongo”。


コロナに振り回される欧州の映画祭

 フランスの最初のロックダウンは、3月半ばから2ヵ月弱続いた。当初はこの辛い時期さえ越えれば、元の生活が戻ると信じていた人が多かったろう。だが、現実は容赦ない。半年以内のまさかの再ロックダウンだ。

欧州の映画祭も大いに振り回された。2月のベルリンはぎりぎり逃げ切れたが、5月のカンヌ、8月のロカルノは通常開催を断念。しかしウイルスが収束しかけた8月末以降、フランスの有力映画祭のアングレーム仏語圏映画祭やドーヴィル・アメリカ映画祭、近隣諸国のベネチアやサン・セバスチャンなどが、続々と実施に踏み切る。ただし、遠方の移動は慎重にならざるを得ず、通常よりもゲストが少なめのところが多かった。

このまま欧州の映画祭リレーが続くかと思われたが、秋が深まり一気に暗雲が立ち込める。感染者数の急増でフランスは10月半ばから夜間外出禁止に。10月30日からはついに再ロックダウンに突入だ。映画祭の開催を望む雰囲気も吹き飛んでしまった。


コンペは実施し、賞も授与する

国際コンペに登場し金の気球賞を狙う想田和弘監督『精神0』。

 難しい舵取りを迫られたのが、毎年11月に開催されるナント三大陸映画祭。1979年以来、アジア、南米、アフリカの秀作を紹介してきた仏西部の有力映画祭である。2020年はロックダウン中につき通常開催は無理となったが、独自の開催方法を編み出している。期間は予定通り11月20日から29日。この間はインターネット上のみで開催するが、ロックダウンが終わった暁には、コンペ作品をナント市内の劇場で上映会を設けるという方法を選び取った。

映画祭の柱となるのがコンペティション。今年は国際コンペ部門にフィクション5本、ドキュメンタリー3本を選出。期間中は審査員がネット上で鑑賞し、最高賞の「金の気球賞」、次点の「銀の気球賞」を授与する。

日本関係の作品としては、想田和弘の『精神0』、C.W.ウィンター&アンダース・エドストロームの『仕事と日(塩尻多代子と塩谷の谷間で)』の2本。他はアゼルバイジャン、モンゴル、レバノン、メキシコ、韓国、アルゼンチンといった多様な国の作品が選ばれた。
▶︎国際コンペティション作品リスト

映画祭のメイン会場「カトルザ」。

ただし、こちらのコンペ作品は一般の映画ファンはネット上では見られない。その代わり、先述の通りロックダウン後にナントの映画館で上映会が行われる。国内初上映の作品たちに花を持たせ、観客は大スクリーンで作品を味わえる。市民に愛される地域密着型映画祭でもあるだけに、イベント感もしっかり維持する良い方法ではないか。


誰でも無料で見られる太っ腹プログラム

 とはいえ、巣ごもり中にネットでコンペ作品が見られないのが残念な映画ファンもいるだろう。ご心配なく、ナントは嬉しい太っ腹企画を用意した。今年は特別に、ここ10年の本映画祭の収穫と言うべき秀作14本がネットで視聴できる。見逃した作品にも出会える絶好の機会。平日は毎晩一本、土日は午後から二本、フランス在住者は無料で鑑賞できるのだ。。毎日プログラムが変わるので、予定を細かくチェックしてほしい。映画が始まる24時間前から予約できる。11月20日から29日まで鑑賞可能だ。

最新情報は映画祭のサイトから https://www.3continents.com/fr/
鑑賞はこちらのプラットフォームから www.festivalscope.com/page/festivals
サインアップ用のサイト www.festivalscope.com/signup.html


【一般用プログラム】
作品により指定日の14hから19h29、15h30から19h29、20hから23h59の時間帯に鑑賞可能。席に限りがあるので注意を。予約は映画が始まる24時間前から予約できる。

11月20日(金)20hから0h
『ほとりの朔子』深田晃司 • 金の気球賞 2013

深田晃司監督『ほとりの朔子』。フランスのタイトルは『Au revoir l’été さよなら、夏』。


11月21日(土)15h30から19h30
『Les Derniers jour d’une ville 』タメル・エル・サイード • 金の気球賞 2016

11月21 日(土)20hから0h
『自由が丘で』ホン・サンス • 金の気球賞2014

11月 22日(日)14h から19h30
『収容病棟』ワン・ビン • 銀の気球賞2013

 11月 22  日(日)20hから0h
『Les Bruits de Recife/NEIGHBORING SOUNDS 』
クレベール・メンドンサ・フィリオ• 国際コンペティション2012

 11月23 日(月)20h から0h
『凱里ブルース』ビー・ガン • 金の気球賞 2015

こちらも必見、中国の鬼才ビー・ガン『凱里ブルース』。


 11月24  日(火)20h から0h
『川の抱擁 』ニコラス・リンコン・ギル • 金の気球賞 2010

 11月25 日 (水)20hから0h
『Comme un cheval fou』グー・タオ  • 金の気球賞 2017

 11月26日 (木)20h から0h
『大親父と、小親父と、その他の話』ファン・ダン・ジー • 国際コンペティション 2015

 11月 27 日(金)20h から0h
『108 – Cuchillo de palo』レナーテ・コスタ・ペルドモ • オマージュ上映

今年夭折した女性監督レナーテ・コスタ・ペルドモのオマージュ上映『108 – Cuchillo de palo』 も。Affiche


 11月28 日 (土)14hから19h30
『Makongo』Elvis Sabin Ngaïbino • 公式セレクション2020

 11月28 日(土)20h から0h
『Eyimofe (This is my desire) 』
Arie et Chuko Esiri • 公式セレクション2020

 11月29 日(日)15h30 から19h30
『贖罪 I : Celles qui voulaient se souvenir 』
黒沢清 • 公式セレクション2012

黒沢清監督『贖罪』。パート1と2をこの日、一気に上映。


 11月29 日(日)20hから0h
『贖罪 II : Celles qui voulaient oublier 』
黒沢清 • 公式セレクション2012

 また、今年は日本が誇る松竹スタジオ100周年のオマージュ特集が企画されていたが、こちらは残念ながら延期に。2021年のナント三大陸映画祭であらためて特集される予定だ。その頃はさすがにコロナとおさらばしてると信じたい。(瑞)



 

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