
マクロン大統領は2020年11月11日、作家モーリス・ジュヌヴォワをフランスの偉人廟「パンテオン」に聖別する。ジュヌヴォワは小説『ラボリオ』でゴンクール賞を受賞した作家、詩人でアカデミー・フランセーズ会員。マクロンはジュヌヴォワとともに、第一次世界大戦を戦った兵士たち(Poilusと呼ばれる)を、パンテオンに祀る。休戦記念日、11月11日にセレモニーが行われる。
モーリス・ジュヌヴォワ(1890-1980)
モーリス・ジュヌヴォワは、1890年仏南東ニエーヴル県の生まれ。1911年にパリ高等師範学校に合格し兵役後に入学するが、第一次世界大戦で総動員令が発せられるとマルヌの戦いをはじめ、ヴェルダン、レ・エパルジュなどの激戦地に送られ1915年4月に負傷。入院生活を7ヶ月間送った後で除隊となった。
1916年に『ヴェルダン戦線』、1917年『戦争の夜』、1918年『塹壕の入口で』、1921年『泥 La Boue』1923年に『レ・ゼパルジュ Les Éparges』を発表、これらがのちに一冊にまとめられ『14年の人々Ceux de quatorze』として出版された。学友や前線での仲間を失った経験、戦争の酷さを、現実に忠実に、綴った、大戦の貴重な証言。出版当初は検閲により部分的に削除された。
自然を愛し、ソローニュ地方で気ままに生きる密猟者を題材にした小説『ラボリオ』でゴンクール賞を受賞。1946年、アカデミーフランセーズの会員となる。著書は50作ほどある。
パンテオンにはフランス革命後、国家のために貢献した人々が祀られている。2018年にはシモーヌ・ヴェイユと夫アントワーヌがパンテオン入りしたセレモニーが記憶に新しい。誰を聖別するかは大統領決断となっている。