1968年、スペインはフランコ体制で国際的に孤立しており、この年にどのような実験芸術運動が起きたのか、国外では知られていない。国内でもフランコ体制以降は過去のアートとみなされ、顧みられなかったという。それを掘り起こしたのが本展だ。 1968年、IBMがマドリッド大学の計算センターに「管理業務には使用禁止」と釘を刺してコンピュータを寄贈した。大学で初めてのコンピュータだった。計算センターでは建築家、美術家、音楽家、詩人たちがエンジニアと協力してコンピュータを使い実験的なアートに取り組んだ。オルレアンの現代美術センターでは、16人の作家が当時から70年代に制作した138点を展示している。リーダー格のホセ・ルイス・アレサンコは、プログラミングした物体が自動的に動く様子をビデオに録り、作曲家がコンピュータで作った実験音楽を添えた。建築家のフランシスコ・ハビエ・セグイ・デ・ラ・リバと社会学者のアナ・ブエナベントゥーラの2人組は、線を組み合わせて幾何学的なデザインに近い「宇宙の秩序」を作った。
巡回展はなく、フランコ体制の末期に花開いた前衛アートが見られるのはここだけ。現代美術史からぽっかり抜けた部分を発見できる滅多にない機会だ。(羽)
2019年2月24日まで
FRAC Centre-Val de Loire(サントル=ヴァル・ド・ロワール現代美術センター)月火休
88 rue du Colombier (入口はBd.Rocheplatteから)45000 Orléans
パリからはオーステルリッツ駅からオルレアン駅まで列車で1時間。駅から徒歩10分。