佐野 恵美子さん(34歳)
昨年2月、マレ地区にオープンした「Les Trois Chocolats」は、ゆずや桜、味噌、山椒、きな粉など和の素材を使い、着実に常連客を増やしている。
佐野さんの実家は、福岡で1942年創業の老舗洋菓子店「Chocolate Shop」だが、家業を継ぐことは考えていなかった。大学卒業後に就職した地元企業の営業で得意先を回るうちに、実家の店がいかに愛されているかを知り、「私が継いで祖父の代から100年続くお店にする」という想いが膨らんだ。しかし、父親の隆さんに相談するも、「職人をなめるな」と一蹴される。「本場を見て、それでもやる気があるなら考えてやる」と言われ、「言葉も話せない、お菓子も作れない状態で飛び出すように25歳の時に渡仏しました」。語学学校から始まり、職業訓練校で技術を学んだ後、10年間でフランス中の10軒近くのお店で修業を積んだ。
印象に残っているのは、サンテティエンヌ近くのモニストロル=シュル=ロワール村で、MOF(国家最優秀職人章)パティシエ、ブリュノ・モンクディオルさんのもとで働いた時のこと。隣の牧場で作られた生クリームや、山で採れたブルーベリーを使ってケーキを作った。地元の食材を使って地域に貢献する姿勢を学んだ。
彼の紹介で憧れのシェフ、クリストフ・ミシュラクさんが働いていたプラザアテネで働けることになり、パリへ。その後も人のつてを頼って有名店で働いてきた。
店名には、祖父、父、そして自分、3世代の夢を込めた。10月には、父親の店とコラボレーションしたお店を福岡に開店し、パリで作ったチョコレートを空輸している。創業から“100年”までの24年は、パリで走り続けるつもりだ。
「実はまだ正式に“3代目”と認められていません。まずは父に納得してもらって、安心して任せなさい、って言えるようにならないと」。(金)
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Les trois chocolats
Adresse : 45 rue Saint-Paul, 75004 ParisTEL : 01. 4461. 2865
アクセス : M°Saint-Paul
URL : les-trois-chocolats-paris.com
11h-20h 月休