Le goût de la Renaissance
カタール王族のシェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニのコレクション「アール・サーニ・コレクション」と英ヴィクトリア&アルバート博物館のコレクションの中から、ルネサンス時代の至宝を展示する展覧会だ。どちらも美術工芸では世界屈指のコレクションとして名高い。
展示品は宝石、金銀細工、クリスタル細工、彫刻、絵画など。 14世紀にイタリアで始まったルネサンスは欧州に広がり、イタリアの美術工芸技術がドイツ、フランスにももたらされた。15世紀に大航海時代が始まって、象牙のような海外の珍しい物品が欧州でも流通するようになり、それらの素材を使って趣向を凝らした工芸品が発達した。
金銀細工の中では、貝殻を船体にした帆船を人魚が背中に乗せた置物(写真)が繊細な細工で素晴らしい。縦5cmほどの小さな楕円形の額に水彩で描かれた肖像画は、細かなレース模様まで描かれており、気が遠くなりそうな技巧だ。金でエリザベス1世の横顔を作ったペンダント(冒頭の写真)、イサクが息子を殺そうとする旧約聖書の場面をルビーやサファイヤを組み込んで表した帽子飾りなど、名品をあげればキリがない。
アジアから来たものもある。鎖国直前に日本で輸出用に作られた漆塗りのビールジョッキには螺鈿細工が施されている。中国で明の時代に作られた磁器のティーポットはドイツで銀細工を施され、茶器として使えない飾り物になった。ルネサンス時代は、こうした食器などの 「日用品」の豪華版はもっぱら外交の贈り物として使われた。貴族や王族が美しい日用品を実際に使用するようになったのは後の時代だという。(羽)6/30まで
▶️ 展覧会の会場オテル・ド・ラ・マリーヌも、この機会にじっくり見学しよう。
記事☞ 「コンコルド広場に、元王室宝物館の壮麗な史跡がオープン。」
Hôtel de la Marine
Adresse : 2 place de la Concorde, 75008 Paris , FranceURL : https://www.hotel-de-la-marine.paris
10h30-19h (金-21h) 13€/18歳未満無料、EUパスポート保持者・非E Uの在住者18-25歳無料。定休日なし(5/1休館)。