南仏で2年間過ごした後、弟のテオに勧められ、ゴッホは1890年5月20日、オーヴェール・シュル・オワーズにやってきた。ラヴー亭に宿泊しながら絵を描き続けていたが精神の不安定が7月末にひどくなり、7月27日には城の裏の草原で自分の胸に銃弾を撃ちこみ、その傷が原因で2日後に亡くなった。
オークションに出る拳銃は、ゴッホが自殺をはかった野原で1960年ごろ、そこで働いていた農夫によって発見されたもの。発見場所と、ガシェ医師が口径7ミリだったと記録していること、地面に落ちる直前に使われたことや、50年から80年間、地面に落ちたままだったことなどがピストルの科学的、技術的な研究から明らかになっているという。ピンファイア・カートリッジ式(ルフォーシュー社)なのでパワーが弱いことも、ゴッホが負った傷の状態と呼応する。
ゴッホが自殺に使ったであろう根拠が揃ったため、同ピストルは2016年7月〜9月、アムステルダムのゴッホ美術館「狂気の瀬戸際、ゴッホの病」展で、公式に展示された。
想定額落札額は4万〜6万ユーロ。展示は終了。オークションは6月19日(水)、14h30から。