70年代、庶民的なパリ。
フランソワ=グザヴィエ・ブシャールと、レオン=クロード・ヴェネツィアの交差する視線
Le Paris populaire des années 70
Un regard croisé de François-Xavier Bouchart et Léon Claude Vénézia
洗濯物が干された小さな庭と小さな家。小路で遊ぶ子どもたち。建物の壁は黒ずんでいるし人々は金持ちではなさそうだが、のどかさを感じさせる風景だ。70年代、そんな「村」のようだったベルヴィル地区の古い建物が壊され、大型の住宅が造られていった。オスカー・ニーメイヤーが設計したUFOのような共産党の建物が、古い小さな家々を壊した場所に建造されてゆく写真もある。フランソワ=グザヴィエ・ブシャール(1946-1993)と、レオン=クロード・ヴェネツィア(1941-2013)はそれぞれ、その開発の経過と、そこでの人々の暮らしを写真に収めた。
今や、しゃれたレストランやバーが増え、住民も入れ替わって地価が上がる「ジェントリフィケーション」現象が進むベルヴィル。でも、ユダヤ教会堂やモスクが共存し、中華料理店やアフリカ食材店が軒を並べ、世界の文化が混在し、共存する魅力は変わらない、愛しい町だ(空き地で子どもたちが遊んでいた、ちょうどこれらの写真が撮られた頃、オヴニー 編集部の前身もベルヴィルの小さな通りに誕生しました)。
Agence Roger-Viollet
「ロジェ=ヴィオレ」は1938年、エレーヌ・ロジェ=ヴィオレ(1901-85)と夫ジャン=ヴィクトール・フィッシャーが創設した写真エージェンシー。エレーヌは父親から写真の手ほどきを受けジャーナリズム学校へ進み、そこで出会ったジャン=ヴィクトールと結婚。夫婦ふたりで写真を撮りためるかたわら、ボザール(美術学校)の生徒に写真を売っていたローラン・オリヴィエのアーカイブを買いとったり、エレーヌの父親の写真コレクションを総合して1938年にエージェンシーを開いた。戦後も後継者のない写真エージェンシー、倒産した写真スタジオ、新聞社などのコレクションを買取り、ダゲレオタイプ、古い写真機なども蒐集。1世紀半にわたる、フランスと世界で撮影された600万枚のコレクションを形成した。
エレーヌの没後コレクションはパリ市に寄贈され、パリ市歴史図書館に保管されている。2020年からはギャラリー・ロジェ=ヴィオレが創設され運営をPhotononstop社に託し、テーマや写真家別にごとに展覧会を行い、プリントを販売している。探しているテーマがあれば、ネットでも検索できるが、ギャラリーの別室でも所蔵写真を見ながら探すことができる。
La Galerie Roger-Viollet
Adresse : 6 rue de Seine , 75006 Paris , FranceTEL : 01 55 42 89 09
アクセス : Odéon
URL : https://www.roger-viollet.fr/fr
入場無料、火〜土 11h-19h。