
Huile sur toile 198 x 289 cm Toulouse, musée des Augustins
古代エジプト最後の女王クレオパトラ7世(紀元前69〜紀元前30)については、歴史的事実だけでなく、作り話も流布している。それらを洗いざらい見せて、鑑賞者にクレオパトラ像の再構築を促す展覧会だ。
カエサルの養子オクタウィアヌスは、紀元前31年のアクティウムの海戦でクレオパトラとマルクス・アントニウスの連合軍に勝ち、プトレマイオス朝を滅ぼした。勝った側のローマがクレオパトラについて「性的変質者」といった否定的なイメージを流し続け、著述家たちもそれに倣ったので、逆に現地エジプトや中世のアラブ世界で、聡明な統治者として信頼されていたことはほとんど知られていない。その後西洋では長い間顧みられなかったが、ルネサンス期以降、文学や美術を通して注目を浴びるようになった。しかし、ローマ時代に植え付けられたイメージは強く、有名な自殺の場面は、作者の妄想を伴い性的に表現された。本展のコミッショナーによれば、実際は蛇に腕を噛まれて死んだそうだが、絵や彫刻では蛇を手にして全裸で横たわっていたり、蛇に乳房を噛まれて恍惚の表情をしていたりする。20世紀のフェミニズムの時代になると、男性優位社会のローマ帝国が作った偏見に満ちたイメージから解き放し、クレオパトラを評価する動きが出てきた。現代の女性美術家によるクレオパトラを題材にした作品は、植民地時代のオリエンタリズムの影響を受けた、エキゾチックで性的なクレオパトラ像とは大きく違う。会場後半では映画でクレオパトラ役の俳優が身につけた衣装が展示され、映画の一部がビデオで見られる。(羽)2026/1/11まで。


Cléopâtre mourant, debout, XVIIème siècle
Versailles, châteaux de Versailles et de Trianon
© Château de Versailles, Dist. GrandPalaisRmn / Didier Saulnier

Cléopâtre se donnant la mort
Vers 1650, Rennes, musée des Beaux-Arts
© MBA, Rennes, Dist. GrandPalaisRmn / Patrick Merret

La Mort de Cléopâtre
2022
Huile sur toile
Collection particulière
© Gregory Copitet

© Esmeralda Kosmatopoulos

Crédit: Everett Collection/Bridgeman Images.
© 20th Century Fox Film
Corporation Everett Collection Bridgeman Images
8月 : 月休。火木金 11h-19h 水 11h-21h30 土日祝 11h-20h。
9月以降 : 月休。火〜金 10h-18h 土日祝 10h-19h 。
10€ / 26歳未満無料。屋上のテラスはアクセス無料。

Institut du monde arabe
Adresse : 1 rue des Fossés-Saint-Bernard, 75005 ParisTEL : 01 40 51 38 38
アクセス : Jussieu / Cardinal Lemoine
URL : https://www.imarabe.org/fr/agenda/expositions-musee/mystere-cleopatre
