卓上の黒板メニューには、自家製テリーヌ、子牛の頭と舌のテリーヌにラヴィゴット・ソース、タラのパイ…。主菜もテット・ド・ヴォー、子牛の腎臓 + シャンピニオン+ピューレ、ブダン + ソーセージ+ピューレ…と伝統料理名が並ぶ。前菜にサケのマリネ(16€)をとるとサケとザリガニのデュエットで豪華だし、エスカルゴのパイ(16€)は肉づきのいいブルゴーニュ産エスカルゴがパイの中と周りにふんだんに盛られている。見るだけで胃が喜んだ。
ここはクロード父さんこと、クロード・ペロダンさん(71)の店。かつて7区にあった「オベルジュ・デュ・ペール・クロード」(OvniN°883)は、故シラク大統領が子牛の頭と舌の煮込み料理「テット・ド・ヴォー」を食べに通う有名店だったが、クロードさんのリタイヤと同時に2年前に閉店。ところがリタイヤ後、クロードさんはレストランが恋しくなってしまった。厨房での仲間との協働、客との付き合い…ブルゴーニュでホテルレストランを経営していた親のもとに生まれ、若い頃からボキューズ、トロワグロ兄弟のもとで働き、ほぼ60年間料理に携わってきたのだから。パリ15区に全28席の小さな店を買い、「クロード父さんのリタイヤ」と名付け、「膝、腰、心臓、目の手術、歯の治療をして」 、新しいスタートをきったのがこの店だ。 昼も夜も厨房に立ち、サービスもする。客の中には前の店からの常連や、リタイヤした料理人もいる。
さて、主菜は、5年前にクロードさんのテット・ド・ヴォーを食べた時の記憶がまだ鮮明なので、やはり彼の得意料理だという、鶏肉とザリガニのソテー(28€)とマコンの白ワインにした。頭はついているがカラをむかれたザリガニたちが、キツネ色の鶏を囲んでいた。 (六)
La Retraite du Père Claude
Adresse : 89 rue de la Convention, 75015 ParisTEL : 01.4554.7349
アクセス : M°Boucicaut
月日休。12h-15h/19h-22h30