
En voie d’illumination – Lumière de la Nature 灯りの道・自然界の光
パリ植物園のイルミネーションは今年で7年目。ここ数年の大型ランタンとは趣向を変え「自然界の光」をテーマに、自然に光る鉱物、地上にある発光生物・植物、深海生物、光の自然現象などを紹介するイルミネーション。ただキラキラと輝いてきれい、だけではないのです。
今年は、自然界への〈光害〉も考慮し、昨年よりも短く18h-22h、光量も抑え気味。年末のイルミネーションは、電飾の”派手さ”を競うようなきらいがあるものの、さすがは国立自然史博物館。

まずは「鉱物の光 Lumières minérales」から。自然史博物館の鉱物コレクションの方解石(calcite)、方ソーダ石(sodalite)、アラレ石(aragonite)、柱石(scapolite) などを3Dスキャンして作られたホログラムの石が14個くるくると回転する。本物の蛍光石2個も特別にミュージアムから出しガラスケースで展示。これは紫外線を当てるとブルーに光るからお見逃しなく。火山の噴火をライトとホログラムで再現し、赤熱現象にも触れる。

次は「地上の光 Lumières terrestres」。南米、東南アジアの熱帯森林、ヨーロッパの高山森林に生息する光動植物を紹介する。日中の光に反応したり、夜の闇の中でも紫外線などに触れることで発光したりする。大きな光るキノコは夜になると緑に光り、鉄線の花は夜には光を放つ。木々には蛍が舞う。

「海の光 Lumières marines」コーナーは、幅40メートルある進化大ギャラリーの建物の大きな壁をスクリーンにして写しだされる海の世界。太陽の光が差しこまない深海では、なんと7割以上もの生物が、仲間とのコミュニケーション、防御、天敵を戸惑わせるため、また、エサになる生物を誘き寄せたり、パートナーを誘うためなどに発光するという。もう少し水面に近いところでも、ヒトデ、エビ、クラゲなどが発光する様子(映像)を見ることができる。映像は6分間。

「天空の光 Lumières céléstes 」といえば雷。植物園内のビュフォン並木道を歩きながら、雷、流星、植物館(Galerie des botanique)に映写されるオーロラなどが見られる。米アリゾナ州で発見された本物の彗星も展示。最後は、地球からは見えない月の裏側が、回転する3Dの映写で見られる。

これらイルミネーションに登場する石や動物たちは、不思議な形相のものも多いけれど、すべて実在するものばかり。また、音にも注意してほしい。自然史博物館では、自然現象と同時に収録してきた音のコレクションも多い。イルミネーションで使われている音は、すべてそのように採集されたもので迫力あり。自然界の謎と知性をたっぷりたのしもう。
2026年1月18日(日)まで。

Muséum national d'Histoire naturelle
Adresse : 2 rue Buffon, 75005 Paris , Franceアクセス : Gare d'Austerlitz
URL : https://www.mnhn.fr/fr/illuminations(予約はhttps://mnhn-illumination.shop.secutix.com/content)
学校休暇中は毎日。それ以外は水〜日曜日。18h-22h。日時指定で予約すると13/21€。日時指定しないオープンチケットは20€/28€。家族割引60€も。


