
今晩はブランケット・ヴォーと思ったけれど、どうやってつくったらいいのか確かでない。そんなときは、「blanquette de veau」とパソコンで検索すれば、Marmiton や Cuisine AZ などの料理サイトがつくり方が教えてくれる。自分のレベルに合ったものを選ぶことにしよう。
テレビに氾濫(はんらん)している料理番組だが、そのレシピは、今の傾向を追いすぎていたり、星付きシェフのものだったりして敷居が高い。そんな中で、平日の13時から放映されているFrance 3の〈Météo à la carte〉は、ときにはローカル色もとり入れながらの家庭料理中心でおすすめしたい。「blanquette de veau météo à la carte」と検索すれば、いつでも、YouTube でこの番組のビデオを見ることができる。

こんなふうに手軽にレシピを見つけることができるようになったといっても、レシピ本ならではのよさは変わらない。目当てのレシピをさがしてメージをめくっていると、ほかのレシピのおいしそうな料理たちが目に飛び込んでくる。「あっ、これはおいしそう」、「次の日曜にトライしてみようかな」などと味の旅へといざなってくれる。わかりやすいフランス語*で書かれた、すぐれレシピ本を紹介したい。
*少しフランス語ができるなら大丈夫なはずだ。わからない単語があったら、こまめに辞書を引くことにしよう。ovninaviのフランス料理の食材豆辞典や料理用語をまとめたもの① ②も役に立つだろう。
『Le Larousse de la cuisine facile』
ぼくが15年以上頼りにしている、初心者にもうってつけの一冊だ。食材のABC順でAbricot、Agneau
からveauまで500以上のレシピがならぶ。オヴニー用のレシピを書くときにどれだけ世話になったことか。でき上がりの写真もシンプルな盛りつけで、これなら私でも、と安心できるのがいい。レシピの手順もわかりく書かれている。巻頭の野菜や果物類、魚介類などの旬はいつかというカレンダーも大いに参考になるし、巻末の、ヴィネグレットソース、ベシャメルソース、カスタードクリーム、パイ生地、クレープ生地などのつくり方も写真があって親切だ。最初は失敗してもくじけないことだ。二度、三度とつくっていくうちに、どんどんおいしくなっていき、「あら、もうシェフね!」と拍手をもらうことだろう。

『La cuillère d’argent』
1500ページ、3キロの以上の重さという貫禄ある本だ。もともとイタリア料理のレシピ本なので、パスタ、ピッツァ、リゾットの項目がすばらしい。魚介や野菜が豊富なイタリアならではの料理にはため息が出そうだ。とりわけ子牛料理が充実しているのがうれしい。ナスのマリネaubergines marinées、アスパラガスのリゾットrisotto aux asperges、ボロネーズソースsauce bolognaise、子牛肉のレモン風味
escalope de veau au citronやサルティンボッカsaltimboccaなどは、すっかりわが家の定番になった。

佐藤真著『パリっ子の食卓』
日本語のフランス料理レシピ本というと手前みそですが、オヴニーの連載をもとにしたこの一冊か。春夏秋冬ごとに92のレシピがならぶ。ほとんどがベーシックな家庭料理だから、つくり方もむずかしくない。各レシピは、この料理に出会ったパーソナルなきっかけからはじまり、読むだけでも楽しい。パン、ワイン、チーズのコラムも大いに役に立つはずだ。犬養智子さんに『ひとりで元気暮らし』の中で「しゃれたイラストも作る気分をそそる。分量や時間もあまり細かく書いてないのも、ルーラララと作る気分にしてくれる」とほめていただいた。最近では「伝説の家政婦」こと家庭料理名人のタサン志麻さんに「どんな料理本より大好きで、ボロボロになるまで読みました」と言っていただき感激。おかげで単行本も文庫も増刷されている。

単行本1760円文庫968円
