
肉や魚の煮込み料理、あるいはさまざまなソースやサラダのドレッシングを味見したら、ちょっと風味が薄い、味にしまりがない、酸味がきつい、もう少し変化をつけたい、などと感じたときに役に立つ食品たちを常備しておくといい。
Fumet de poisson / Fond de veau
魚料理の煮汁やソースの味わいを濃くしたいのなら、この連載の魚用ソースの回に登場したフュメ・ド・ポワソンfumet de poissonの世話になる。粉末適量を少量のお湯で溶いて混ぜ入れる。肉料理の煮汁やソースなら、肉用ソースの回で紹介したフォン・ド・ヴォーfond de veauにたよることにしよう。どちらも入れすぎるとくどくなるので控えめに。


Tomates séchées à l’huile d’olive
トマトのうまみが凝縮したような乾燥トマトのオリーブ油漬けtomates séchées à l’huile d’oliveも手ばなせない。トマトサラダをつくってみたけれど肝心のトマトに風味がない。そんなときは、この乾燥トマトをせん切りして混ぜ入れ「Salade aux deux tomates !」とニッコリ食卓へ。ピッツァの具としても欠かせないだけでなく、フェンネルを薄く切ってフライパンでさっといためて乾燥トマトのせん切りをのせたサラダも美味。ぼくはスパゲッティ・カルボナーラにも、小さく切ってた加えることが多い。クリーミーな味わいに酸みのアクセントをつけてくれるので、好評だ。

Anchois
ナポリ風ピッツァにのせるアンチョビーanchoisも常備しておきたい食品だ、その独特の風味を生かしたピサラディエール、ニース風サラダ、シーザーサラダのドレッシング…。小さく切り分けてからポテトサラダやカブの酢漬けに混ぜ入れるのもおすすめ。パスタとの相性もいい。ニンニクの風味をきかせることにしよう。

Miel
わが家の台所にはハチミツmielも欠かせない。カモの胸肉用のソースに加えたり、サラダのドレッシングがすっぱすぎたら少々たらしてまろやかにしたり、カレーや肉の肉や魚のトマト煮にちょっと加えたり…。こんな用途には、固まっているよりはとろりと流れるハチミツの方がつかいやすい。

Câpres
エイのヒレのバターソースやタルタルステーキになくてはならないケッパーcâpresも、肉や魚用のソースに加えたり、トマトのサラダに混ぜ入れたり、スモークサーモンに添えたり、アイデア次第でいろいろと活躍してくれる。

Sauce de soja
かくし味としてしょう油をつかうフランス人のシェフが増えていて、肉や魚のマリナードやサラダのソースの味に変化をつけようとしている。ただし、しょう油は香りが独特だし塩味が濃いので入れすぎは禁物だ。フランス料理なんだからあくまでもかくし味程度でおさえたい。(真)
