
冬から春へと向かっていく3月。八百屋には冬ならではの根菜類やオレンジなどの果物が並んでいたと思っているうちに、スペインからやってくる大粒のイチゴや春を告げるタンポポの葉やホウレンソウが出まわってくる。
アントレ
わが家の庭には雑草のタンポポpissenlitがはびこっているので、3月末になると、花が咲く前に根っこごと引きぬいてサラダにする。庭がなくたって、八百屋でタンポポの若葉を買ってくればいい。八百屋のタンポポは栽培されたもので、苦みがうすく、洗うのも簡単だ。色がつくまでいためたベーコンを混ぜ入れるのだが、タンポポの葉の味わいとよく合う。市販のものでもいいからクルトン(パンの小片を揚げたもの)を散らせば素敵なサラダのでき上がり。春が近い。

ブリック(ページ下のコラム参照)の皮でホウレンソウとヤギ乳のフレッシュチーズを包んで揚げたものもこの季節らしい。アントレにするのなら、一人当たり、2個か3個あれば十分だ。
メイン
メインには、冬ならではの根菜に活躍してもらう。ビーツbetteraveのホイル焼きを紹介したことがあるが、ビーツだけでなく、パースニップpanais、ニンジンや皮つきの小さめのジャガイモなどいっしょにホイルで包めば、それぞれの根菜の味わいの違いをたのしむことができる。くん製風味のソーセージ、モルト― morteauやモンべりアール monbéliardを、ゆでたり焼いたりしたものに付け合わせれば、ぜいたく、ぜいたく!

チーズ
さらにチーズに食べたいという人もいるだろう。3月が食べどきのカマンベール、それもできたら生乳lait cruのものを用意してあげたら喜ばれる。中がとろりと食べごろのものを選びたいところだ。チーズ屋に出かけて「あしたの晩ごはん用です c’est pour demain soir 」と注文すれば頃合いのものを選んでくれる。そうでなければスーパーで見つけることになるのだが、フランス人の多くはふたを開け、真剣そのものの目つきで、親指で軽く押しながらをさがしている。
デザート
まだまだリンゴが立て役者だ。1月のデザートでは焼きリンゴが登場したけれど、リンゴのクランブルにも拍手がわくだろう。もう一つ手間をかけてホイップクリームcrème chantillyを添えたりしたら文句なしだ。呑み助には、カルヴァドスもお供させたい。
Feuille de brick
マグレブ料理に欠かせないブリックの皮は、小麦粉が原料の薄い皮で、最近はほとんどのスーパーで手に入る。ふつう、直径30センチほどの円形の皮が10枚入って2ユーロ前後。5,6枚を六つの三角形に切り分ける。むきエビ300グラムを包丁でたたいてミンチ状にする。おろしたショウガとニンニク少々、小口切りにした万能ネギ2本を混ぜ入れ、軽くコショウ。皮に塩気があるので、塩する必要はないだろう。エビのミンチを三角形の皮の幅の広い方に置いて巻き込み、楊枝でとめる。後はブリックの皮がキツネ色になるまで揚げるだけ。皮のおかげで油がとばないのもうれしい。タバスコソースとレモンのしぼり汁を混ぜ合わせたものを添える。

