
ちょっと遅くなってしまったけれど、2月2日はシャンドルールとよばれる祭日で、古くは、春が近づいたことを祝うロウソクのお祭りだったらしく、なぜかクレープを焼くのが習慣になっている。というわけで、メインもデザートもクレープcrêpeというメニューを考えてみた。
アントレ
クレープはおなかがいっぱいになる料理なので別にアントレはいらないだろう。ただ、ほとんど野菜なしのメニューなので、グリーンサラダに紫玉ネギの薄切りを多めに散らした、いろどりのきれいなサラダをメインのクレープの脇に添えたい。
メイン

ブルターニュ名物の、塩味の具を入れて食べるクレープにするのだが、生地にそば粉ならではの風味がなくてはさびしい。ソバ粉入りの生地で焼かれたクレープはガレットgalette de sarrasinという。そば粉だけにするとカリッと薄く焼けても、ひっくり返すときにこわれやすい。そこでプロでも小麦粉を多少混ぜ入れる。その割り合いはそば粉の20%から25%くらいがいいだろう。小麦粉の割り合いが多いと、どうしても厚く、もたっとした焼き具合になってしてしまう。
クレピエールcrêpière(コラム参照)というクレープ専用のフライパンがあればベストなのだが、なかったら、底が広く、くっつかないように樹脂加工がしてあるフライパンをつかう。ポマード状にしておいたバターを、刷毛でしっかり塗ってから焼いていく。一枚目はおうおうにして失敗しがちだけれど、二枚目くらいからきれいに焼ける。
塩味の具といえば、おろしたエマンタール、ハム、卵。この三つをいっしょに入れる〈コンプレートcomplète〉が一番人気だ。ほかに各種ソーセージやアンドゥイユという臓物の腸詰の輪切り、玉ネギやマッシュルームを薄く切ってから弱火でバターいためしたもの、生クリーム風味のスモークサーモンなど。ガレットには、赤や白のワインでもいいのだが、辛口のシードル酒cidre brutがよく合う。

デザート
子どもたちの目がかがやく、小麦粉のみの生地でつくられるデザート用のクレープの具は、バターと砂糖入りにはじまり、各種ジャムやヌテラというヘーゼルナッツのスプレッド、リンゴをバターいためしたもの、洋ナシの砂糖煮、チョコレートソース、バニラアイスクリームやホイップクリーム……。ぼくが好きなのは、砂糖をさっと振ってからレモンをしぼりかけたもので、バターたっぷりの塩味ガレットの口直しには一番だ。
メイン用のガレットも、デザート用のクレープも、焼きはじめたら大いそがしなので、あらかじめ、ハムやスークサーモンを適当な大きさに切り分けたり、ソーセージを輪切りにしたり、あるいはリンゴや玉ネギをいためておいたり、ジャムやヌテラを食卓に出しておくと、あわてなくてすむだろう。(真)
Crêpière(クレピエール)
クレープを焼くときに大きなフライパンをつかってもいいのだが、外側のふちが高いので、ひっくり返すのがむずかしかったりする。そこでクレープ専用のふちが低いクレピエールがほしくなる。直径30センチくらいで、くっつかないように樹脂加工やセラミック加工してあるものがいい。30ユーロくらいから手に入る。

Fest-noz
ブルターニュ地方では、ことあるごとに、ユネスコの無形文化遺産に指定されているフェスト・ノズfest-nozというお祭りがある。バグパイプなどによるブルターニュ音楽に合わせ、老若男女が輪になって踊り、臨時のテント下では、次から次へとガレットが焼かれていく。その生地を巧みに広げていく早さ、それをひっくり返す手際のよさは見ものである。レンヌでは、熱々に焼かれたソーセージ丸ごと一本をガレットで巻いたガレット・ソシスgalette-saucisseが名物になっている。

