12月も半ばをすぎると、商店街も朝市もスーパーも、ノエルのメニューを頭に入れた人々でごった返してくる。

アントレ
ノエルのアントレといえば、まずフォワグラfoie gras。カモcanardとガチョウoieのものがあり、キロ100ユーロをこえるぜいたく品だ。一人当たり、予算次第だが50グラムから80グラムはほしい。ノエルが近づくとスーパーに登場するフォワグラコーナーの前で、どれをえらぶか財布と相談しながら頭をなやますことになる。
朝市の鳥肉専門店などでは自家製も売っている。冷蔵庫から出して20分ほどおいてから、食べる直前に薄刃の包丁で1センチほどの厚さに切ってサービスする。少々甘みもほしいので、市販の玉ネギのコンフィconfit d’oignon、そして塩の華を添える。パンはバゲット・トラディシオンbaguette traditionかライ麦パンpain de seigleがいい。

ワインは甘口の白、ソーテルヌかジュランソンが定番だが、わが家では、アルザスのまろやかでフルーティーな白、ゲヴュルツトラミネールがお供する。
生ガキと並んで、スモークサーモンもノエルのアントレとして人気がある。値段は産地によってキロ50ユーロから100ユーロくらいまでとさまざま。やはり財布と相談することになる。最近出まわっているピレネー地方産のニジマスのくん製も美味美味。おためしあれ。レモン、生クリーム、きざんだアネットを添える。北欧風サケのマリネgravlax を三日がかりでつくってブリニを焼いたりしたら文句なし!
メイン

ノエルというと、シャポンというノエル用に特別に育てられた、3キロ以上ある鶏の料理ということになっているが、まず値段が張るし、これをうまく調理するのはなかなかむずかしい。というわけでわが家では、ホロホロチョウをシードルで煮たり(Pintade au cidre)、蒸し煮にしたりしてクリを添えることにしている。もちろん子羊のもも肉のローストも見ばえがするし、オレンジの香りがノエルらしいプロヴァンス風牛肉の赤ワイン煮(Daube provençale) もおすすめだ。ワインは赤、コット・デュ・ローヌの銘酒サン・ジョゼフやボルドーの年代ものにしたいところ。

チーズ
ノエルらしいチーズというとジュラ山地でつくられているモン・ドール。とろりと熟成したところをスプーンですくって、ライ麦パンやクルミ入りのパンにのせて食べる。クリーミーな舌ざわり、木の実を思わせる香り。モミの木の一種、エピセアの枠の中に入っていて、そのほんのりとした木の香りが味わいを引きたてる。500グラムとか1キロのものがあって、人数次第でえらぶことができるのがいい。デザートにそなえて、口直しにマッシュとアンディ―ヴのミックスサラダなどを添える。

デザート
ビュッシュ・デュ・ノエルという薪(まき)の形をしたノエルならではのケーキを買ってきてもいいのだが、わが家で待たれているのはチョコレートケーキ。25センチの型で焼いて6人くらいまでは大丈夫。 ビュッシュ・デュ・ノエル風の派手なデコレーションではなく、クルミでかざって真ん中に赤い実をつけたヒイラギの葉をおく。シャンパンをあけることにしよう。「Joyeux Noël!」(真)




