ノエルのプレゼントのきれいな包装を開いてみたら、長さ20センチくらいの小さな泡立て器 petit fouet(プチ・フエ)がころがり出た。「役に立つのかな」と疑いつつ試してみたら、これがなかなか重宝で、少量のサラダドレッシングをつくるときなどに、ちょっと手ばなせなくなった。椀にビネガー少々をとり、塩、コショウし、オリーブ油適量を注いで、この小さな泡立て器でかくはんしてみると、ふつうの泡立て器では大きすぎて無理だし、フォークやスプーンではうまく混ざらないものだが、なめらかなドレッシングができ上がる。
小鍋でソースやベシャメル少量をつくって混ぜ合わせるときにも欠かせなくなった。とくに独身の方や小家族におすすめすの小道具です。そのうえ、このLaguiole製は柄の曲線がグッドデザインで、ちょっと手を休めてというときに、椀や小鍋のふちに立てかけてもすべり落ちないし、上に水平に置いても落っこちないのだ。8€前後。
台所はこんな便利な小道具に事かかない。たとえば、長さ30センチくらいで、先が三角形に近い木のへらspatule en bois。中くらいの鍋やソトゥーズで、とろりとしたソースやベシャメル(コラム参照)を用意するときに大活躍する。というのも、この形のおかげで、へらが鍋のすみずみまで行きわたって、ソースが底にくっついたりしないのだ。6€前後。
へらといえばステンレス製の細長い三角形のへらpelle à tarteも、タルトやキッシュを焼くのが得意な人にはうれしい小道具だ。三角形に切り分けたタルトに、このへらを差し入れてとり出し、各人のとり皿にスムーズにうつすことができる。10€前後。
ニンニクの香りがきいた南仏料理ファンにはニンニクしぼり器 presse-ail がほしい。鍋にオリーブ油をとって熱くなったら、この道具に皮をむいて切り分けたニンニク入れ、油の上で押しつぶす。とたんにニンニクのいい香りが立ちのぼる。使い終わったら、小さな穴につまったニンニクを楊枝などでつつきながら、蛇口の水で洗い流す。5€〜15€。
マッシャーpresse-puréeといえば、柔らかくゆで上げたジャガイモを押しつぶしてマッシュポテトにする道具だが、小さく切り分けたリンゴなどでコンポートをつくったら、このマッシャーで押しつぶせば、さらにきめ細かなでき上がりになるだろう。ぼくは、エビのブイヨン(コラム参照)を用意するときにも世話になる。10€前後。
何をおいても台所に不可欠な小道具はペティナイフcouteau d’office。ニンニクの皮をむいてからきざんだり、リンゴやナシ、ニンジンやカブの皮をむいたり、ジャガイモなどの面とりをしたり、サヤインゲンのへたを切りとったり、ラディッシュに十字に飾り包丁を入れたり…と大活躍だ。
ぼくは切れ味抜群のNogent製を愛用している。難点は刀身が短めなために柄(ハンドル)に二か所しか止めてなく、しばらくすると刃がぐらついてくることだ。といっても安価なので、ぐらつきがひどくなったら買いかえるだけ。10€前後。(真)
Sauce béchamel ベシャメルソース
バターを切り分け、底広で厚めの鍋にとり、弱火にかける。バターが溶けたら小麦粉を一度に加え、泡立て器か木のへらで絶えず混ぜ合わせ、全体がなめらかになったら火からおろす。人肌に温めた牛乳を半量注ぎ、だまができないように勢いよくかき混ぜたら、残りの牛乳を加えてさらに混ぜ合わせ、全体がなめらかなペースト状になったら弱火に戻す。均一になるように混ぜ合わせながら数分火を通す。塩とコショウで味を調え、ナツメグ少量をおろし入れれば、ソース・ベシャメルのでき上がり。料理によっては、薄切りにしてからやはりバター炒めしたマッシュルームを加えたりしてみよう。牛乳のかわりにココナツミルクにしてカレー風味をつけたベシャメルは、白身の魚料理によく合う。
約4人分:バター50g、小麦粉50g、牛乳500~600cc、塩、コショウ、ナツメグ
*ラザーニュのようにたくさんベシャメルをつかうときは、バター、小麦粉、牛乳を同じ割合で多くすればいい。
Bouillon de carcasses de crevettes エビ風味のブイヨン
生エビでも市販のゆでエビでもいいのだが、むき身にして残った頭と殻を鍋にとる。ヒタヒタになるように水と白ワイン少々を注ぎ入れる。小さく切った玉ネギ少々やニンジン少々、パセリの茎2、3本、ローリエの葉1枚も加える。中火にかけ沸騰したら弱火にし、20分ほど火を通す。マッシャーで頭と殻を丹念に押しつぶしてこせば、素晴らしいエビ風味のブイヨンになる。
生エビの頭と殻を使った場合は軽く塩、ゆでエビならすでに塩味がついているので塩はいらない。みじんに切った玉ネギを軽くいため、軽く小麦粉を振りかけて混ぜ合わせ、生クリームとこのエビ風味ブイヨンを入れ、塩、コショウで味を調えれば、白身魚用の極上のソースだ。ベシャメルをつくるときに、牛乳とこのブイヨンを半々に加えるのもおすすめ。。