
12/2付リベラシオン紙「12月5日〜フランスは準備する」。ル・パリジャン紙「スト〜サバイバル・ガイド」と一面に。
フランス国鉄(SNCF)やパリ交通公団(RATP)が予定していた12月5日の年金制度改革反対のストとデモに、他の都市交通、仏電力会社(EDF)、警察、教員、公務員、病院などの労組、さらに「黄色いベスト」、学生などが次々と参加を表明している。この大規模な抗議運動は1995年秋に3週間も仏全土を麻痺させた年金/社会保障制度改革への反対運動に匹敵するゼネストに発展するのではと危惧されている。
SNCF労組は年金制度の一本化に反対する5日からの無期限ストを予告。経営側は3日午後に列車運行予定を発表するという。RATPのストも9月13日に匹敵する規模が予想される。地方都市の公共交通機関でも2労組が無期限ストを呼びかけ、エール・フランスでは地上職と管制官のストで運航が乱れる恐れも。EDF労組は延長可能ストを呼びかけており、電力生産の低下、国の施設への配電中止を予定。弁護士会、教員、公務員の労組もスト参加を呼びかけており、公共交通機関や役所はかなり麻痺しそうだ。
以上は主に公務員や公営企業など一般年金制度に比べて有利な特別制度の廃止に反対するものだが、それに加えて、テロや黄色いベストのデモで過剰勤務を強いられた警察が労働環境改善と手当増を求めて警察署の閉鎖などを予告。人員・手当増を求めて抗議運動を続ける公立病院もストに参加する。留年して奨学金を打ち切られたリヨンの学生が11月初旬に焼身自殺未遂をした事件を受けて、学生も奨学金値上げを求めてストに加わるほか、運動開始から1年経っても購買力に不満を残す黄色いベストも参加する。
年金制度改革を軸にさまざまな分野の不満が5日のスト・デモに収斂(しゅうれん)する形になりそうだ。公共交通機関のストが長引けば、市民の生活やクリスマス商戦、観光にも影響が出るのは必至で、マクロン大統領は工場閉鎖問題のあったアミアンを訪れるなどして対話姿勢をアピールしているが、公約した年金制度改革を遂行する姿勢は崩していない。首相も年金保険料支払期間を長くすることで、2025年に100憶ユーロ前後に達する年金制度の赤字から脱出すると改革の決意を再表明した。
最近の世論調査では、国民の約60%が5日のストを支持している(労働者は74%、公共サービス部門は70%)。年金制度の改革の必要性を説明し、詳細な内容を開示することで政府は国民を納得させられるのだろうか?年金改革だけでない不公平感がくすぶるなか、政府は大きな試練に立たされようとしている。(し)
