ホタテをめぐる、英仏の海戦。

 「英仏海峡で海戦勃発」。歴史の授業をほうふつとさせるけれど、今週の話。EU/欧州連合の漁船なら入れる欧州共同海域で、英国の漁船5隻、フランス漁船35隻がぶつかり合い、発煙弾や石を投げ交わせて戦った。国営放送のノルマンディー地方局が放映した。
 
 争いの種は、ホタテ漁。英仏でホタテ漁期に関する規定が違うためだ。フランスでは10月1日から5月15日までだが、イギリスには規定がなく、好きな時に漁ができる。解禁前に漁場が荒らされる、というのがフランス側の言い分だ。

 ル・モンド紙によると、フランス側は漁期を同じにするよう要請はしている。2013年から毎年英仏間で1年ごとに漁業協定が結ばれているが、それは15メートル未満の船にのみ適用される。フランスは大きい船にも適用するよう求めてきたものの聞き入れられないため、今年はその協定に署名しなかった。そのために、イギリス漁船がフランスの漁期前からやってきたのだ。

フランス2の説明によると、問題の領域はセーヌ湾と呼ばれる濃い青色の部分。一番濃い青色部分は、フランスの海域。船が描かれたゾーンは欧州の船なら入れる海域で、英国の船も入ってくる。

 欧州は漁業の規則は設けているが、絶滅の危機に瀕する種に関する規定が主で、ホタテは絶滅の心配がないことや、近海で獲れるものだから規定がないという。捕獲するときの最低の大きさに関しては、約10センチ~約11センチと欧州共通の規定があるものの、イギリス、アイルランド、スコットランドなどは15年ほど前から水揚げ量を増やしているために、問題が拡大している。

 今回はフランス憲兵隊が出動して、英国船は退散。「今回の戦には勝ったが、戦争の勝利ではない」などとフランスの漁師も語気を荒くしている。ラジオに出演したトラヴェール仏農相は、来週、英仏漁業関係者の面談を設けることを発表。調整が行われるまでは、英漁船は今週衝突があった海域を避けるよう、英農相に申し入れた。ブレグジッドで英国が欧州から脱退すれば、問題の海域には入れなくなるが、フランスも英国の海域に入れず痛手となる。(集)