『天国と地獄』、『ホフマンの舟歌』などのメロディーで有名な作曲家、ジャック・オッフェンバック(1819-1880)。彼が20年ほど夏を過ごした別荘があるノルマンディーの海辺の町エトルタでは、14年前から「ジャック・オッフェンバック*音楽祭」が開かれている。今年はオッフェンバック生誕200年(6月20日生まれ)とあって、プログラムも一段と凝ったフェスティバルになりそうだ。エトルタの隣町Gonneville-la-MalletとFécampも会場となる。
オッフェンバックは、1859年にエトルタに土地を買い、別荘を建て、それからほぼ毎年、夏を過ごしにやってきた。土地を買った前年、自分の劇場ブッフ・パリジャンで『Orphée aux Enfers 地獄のオルフェ』の公演を大成功させたばかりだったことから(成功したから購入できた)別荘を「Villa Orphée」と名付けた。近くには怪盗ルパン・シリーズを著したモーリス・ルブラン邸(Clos Lupin)や、モーパッサンの家などもある。
オッフェンバックは馬車を作らせ、『地獄のオルフェ』に登場する神々のごとく、オルフェ邸から海までの道を下って行っていくのが常だったという。御者マチュランが座り、その横に、膝に息子のオーギュスト=ジャックをのせたオッフェンバック、足元に愛犬ブームとクラインザック、母親、娘たち、別荘に遊びに来ている友人たち…。
今年のオッフェンバック祭、8月4日(日)のオープニングは、この習慣に倣って音楽家たちが馬車で町なかを回り音楽を奏で、人々を海辺まで誘ってコンサート、という演出で開幕する。
「オッフェンバックの人となりとキャリア」(2/8)、「オッフェンバックと後継者たち 」(8/5)などの講演会(ミニコンサートあり)、ヒットしたアリアのメドレーコンサート(8/6)、200歳を迎えるオッフェンバックが、作家ブノワ・デュトゥトルのラジオ音楽番組に出演し「エトルタに会いに行く」と言い出すため、友人たちは饗宴の準備に悩み、奔走するストーリーのスペクタクル「L’Anniversaire – Bal Concert」(8/8、8/10)。オルフェー邸でのカクテル+スペクタクルなど。
エトルタの浜辺やオルフェー邸内で、即興でコンサートや文学サロンを開いたり、子どもや、記者や芸術家、知識人たちと楽しい時を過ごすのが好きだったオッフェンバック流に、音楽と美しい海と緑を楽しむ一週間だ。
2019年 8月2日(金)〜10日(土)
Festival Offenbach – Etretat
Fécamp-Gonneville la Mallet
プログラムとチケットは、こちらのリンクから:https://www.etretat-festivaloffenbach.fr/programmation
ジャック・オッフェンバック(1819-1880)
プロイセン(ドイツ)王国、ケルン生まれ。13歳の時、チェロを習いにパリの音楽院に入学。その後オペラ・コミック劇場のチェロ奏者に、テアトル・フランセの指揮者に就任する。自分の劇場ブッフ・パリジャン座を開いてから、自作のオペレッタ作品を上演し成功を博した。1860年にフランスに帰化。代表作として『Orphée aux Enfers 地獄のオルフェ』1958、『青ひげ』1866、『パリの生活』1866、『ホフマン物語』1880(未完のまま逝去)などがある。
エトルタ観光局:
Le Havre Etretat Normandie Tourisme
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