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Olga de Amaral
現代のテキスタイルアート作家では、在仏米国人のシェイラ・ヒックスが有名だが、ヒックスと並ぶ大物が、カルティエ現代美術財団で個展を開催中のオルガ・デ・アマラル(1932-)だ。コロンビア人で活動拠点はコロンビア。そのためか、フランスでは一般にはほとんど知られていない。本展では初めて国外に出た作品が多く、これを逃すと見る機会がない、貴重な展覧会である。
母国で建築を学んだ後、米ミシガン州の美術学校で、バウハウスの流れを汲むテキスタイルを学び、1955年にコロンビアに戻ってテキスタイルアーティストとして活動を始めた。インカ文明の黄金やコロンビアの風景と気候をモチーフにして、彫刻的な作品を作る。縦糸も横糸も、糸そのままではなく、織ったり結わえたり丸めたりしたテキスタイルであることが多い。
会場には、糸に「ジェッソ」という、絵の具を載せるための下地材をかけて硬くし、その上にアクリル絵の具と金箔をほどこした金色の小片を無数に出現させた作品がある。テキスタイルでありながらそうではない。金色の小片が作る波や渦巻きのような形が暗い会場から浮き出て、荘厳な雰囲気すら漂う。金は、英国の陶芸家、ルーシー・リーのところで初めて見た「金継ぎ」からインスピレーションを得て使い始めた。
一階には、コロンビアの風景をテーマにした大作が並ぶ。同じ階のもう一つの会場にあるのは、ジェッソをつけて硬くした糸を垂直に垂らした立体作品から、鮮やかな色の幾何学模様が浮き出る、幾何学抽象美術へのオマージュとも言えそうな「靄 (もや) 」シリーズだ。(羽)3月16日まで
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Fondation Cartier pour l'art contemporain
Adresse : 261 bd Raspail, 75014 Paris , FranceTEL : 01.4218.5650
アクセス : Raspail / Denfert-Rochereau
URL : https://www.fondationcartier.com
週末は予約要。月休、水〜日:11h-20h (火 -22h*26歳未満無料)。入場料:11€/7€ (65歳以上、25歳未満の学生、失業者など) 13歳未満無料
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