
Momies
ヒトが死人を埋葬するようになったのは約11万年前。ミイラはといえば、知られている最古のものは9千年前の、ペルーとチリとにまたがって暮らすチンチョーロ族のものだそうだ(このミイラ群は2021年にユネスコ世界文化遺産に登録されている)。
ミイラといえばエジプトが有名だが、死体を腐敗から守る努力は、世界の多くの場所で行われてきた。バクテリア・体内の酵素・虫、という死体の腐敗をすすめる3要素を、異なる自然条件のなかでどう抑えるかでミイラ加工技術(エンバーミング、燻し、乾燥…)も異なってくる。本展ではそれぞれの社会によって違う、人をミイラにする理由なども知ることができる。
同館には、エジプトやアンデス山脈のものを中心に、70体ほどのミイラが収蔵されているが、本展はそのなかの9体を中心に、各ミイラは誰で、どんな人生を送り死に、なぜミイラとなったのか、博物館に収蔵された経緯などをたどる。それらの調査をもとに、各ミイラに身分証明書のようなものが作られており、それによって各地の埋葬習慣や文化、歴史的な出来事などを知ることができるようになっている。

人類博物館が収蔵するミイラは、もとは王立だったパリ植物園の人類学キャビネットに属していたが、それが現在の人類博物館の母体となった民俗学博物館のコレクションとなった。同コレクション初のミイラは、オーヴェルニュ地方で発見された少年のもので、1756年、国王ルイ15世がパリに収蔵することを命じたという。
ミイラとはいえ、「人間の死体」なので、それを展示することの倫理的問題に関しては3年間、議論を重ねたという。全身が保存されているミイラの写真撮影は禁止されている。展覧会の最後には、見学者が思いを書いてボックスに入れられるようになっている。




Musée de l’Homme
Adresse : 17 pl. du Trocadéro, 75016 Paris , Franceアクセス : Trocadéro
URL : https://www.museedelhomme.fr/fr/exposition-evenement/momies
火休、水〜月11h-19h。15€/12€



