”1997 – Fashion Big Bang”展
ガリエラ・モード美術館で、1997年を「ファッション・ビッグバン」として、この年の出来事に焦点を当てた展覧会が開催中。
1996年、コム・デ・ギャルソンは « Body Meets Dress, Dress Meets Body » と題するコレクションを発表した。体にフィットするドレスだが、肩や背中、お腹などにコブがある。それまで美の規範となってきたプロポーションやボディラインを覆すようなこのコレクションをヴォーグ誌は「『ノートルダムのせむし男』の衣装」と呼び、批評は分裂。1997年秋になって米マース・カニングハムのダンスカンパニーがこの衣装で公演を行った。モード史に刻まれる重要な出来事となった。
1980年代から活躍してきたデザイナー、ジャン=ポール・ゴルチエやティエリー・ミュグレーがオートクチュールに参加し始めたのもこの年。そして、ジヴァンシーにアレクサンダー・マックイーン(当時27歳)、ディオールにガリアーノ、クロエにステラ・マッカートニー…と、イギリスの才能あふれる若いデザイナーたちがフランスの老舗メゾンのアート・ディレクターに就任してパリコレを盛り上げる。エディ・スリマン、ニコラ・ゲスキエール、オリヴィエ・ティスケンスらが頭角を現すのもこの頃だ。
ビョークの「Homogenic」のジャケットは、A・マックイーンがデザインしたキモノ風ドレスをまとったビョークをニック・ナイトが撮った。これも1997年。一方ゴルチエはリュック・ベッソンの映画「フィフス・エレメント」の衣装を創作。同作品はカンヌ映画祭のオープニングを飾り、フランス映画としては珍しく米のボックスオフィスで上位入り。
20年間流行の発信地として君臨したコンセプトストア「Colette」のオープン。ジャンニ・ヴェルサーチ殺害が殺害されダイアナ妃、アルマーニ、ラガーフェルド、エルトン・ジョン…超豪華キャストの葬儀…。
「Big Bang」とは、ヴォーグ・パリ誌が1997年のオートクチュール春夏コレクションを評したことに由来するという。パリがモードの中心都市であることを世界に知らしめた1997年の出来事が次々と展示室によみがえる。懐かしくもあり、同時に26年前のことなのに古さを感じさせない。故人となった人たちの作品も多く、一見華やかなモード界の厳しさをも感じさせる展覧会だ。(六)7月16日(日)まで
PALAIS GALLIERA, MUSÉE DE LA MODE DE PARIS
Adresse : 10 avenue Pierre Ier de Serbie, 75116 Paris , FranceTEL : 01 56 52 86 00
アクセス : Iéna / Alma-Marceau /RER-C Pont de l’Alma
URL : https://www.palaisgalliera.paris.fr/
15€/13€/18歳未満無料