『ヒロシマ・モナムール』エマニュエル・リヴァ逝去

アラン・レネ監督『二十四時間の情事/ヒロシマ・モナムール』(1959)。岡田英次と共演。

 1月27日、女優のエマニュエル・リヴァが癌のためパリで逝去した。89歳だった。  
 4年間の闘病生活を周囲にほとんど知らせぬまま、昨年の夏までアイスランドでスリラー映画『Alma』の撮影に参加。来る3月にはドミニク・アベル&フィオナ・ゴードン共同監督のベルギー・フランス映画『Paris pieds nus 』の公開も控えるなど、最後まで精力的に女優の道に生きた人である。

 彼女の忘れ難い代表作と言えばこの2本。アラン・レネ監督の長編第一作にして、ヌーヴェル・ヴァーグの金字塔的作品『二十四時間の情事/ヒロシマ・モナムール』(1959)と、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したミヒャエル・ハネケの『愛、アムール』(2012)だ。映画史に輝くふたつの “アムール” 映画の間には半世紀以上の時間が流れているが、妥協知らずのリヴァはスター路線には一切なびかず、多くの映画出演のオファーを断り、納得できる作品だけに出演してきたという。

ミヒャエル・ハネケの『愛、アムール』(2012)。カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた。

 マルコ・ベロッキオ、ジャン=ピエール・メルヴィル、ジャン=ピエール・モッキー、フィリップ・ガレル、クシシュトフ・キェシロフスキら有名監督の作品に出演。62年には『Thérèse Desqueyroux』でヴェネツィア映画祭主演女優賞を獲得している。文学好きなリヴァは舞台で広く活躍したほか、詩人として三冊の詩集を出版。また2008年には『二十四時間の情事』のロケ中に撮りためた写真を写真集「HIROSHIMA 1958」として発表、日本で写真展を開催し話題を呼んだ。

 『愛、アムール』で娘役として共演した女優イザベル・ユペールは、「彼女の中にはとてつもない非妥協性と、ダイヤモンドのような純粋さがあった。すこし自分の世界や別世界に住んでみえるようなところがあって、孤独を思わせた。でもそれは彼女が被った孤独ではなく、選んだものだった」と語っている。(瑞)

セザール賞、『愛、アムール』が5冠