フランス政府のコロナ危機対処に批判の声、訴訟も7件。

 新型コロナウイルスの感染拡大以来、マクロン大統領とフィリップ首相の支持率は急上昇し、それぞれコロナ危機前より13ポイント増の46%、7ポイント増の43%ではあるものの、政府のコロナ対策に対する批判の声は大きい。

野党である共和党や社会党はテストのやり方やマスク不足を批判し、「服従しないフランス」は「危険を過小評価した」と厳しく非難。共和党は秋にコロナ危機に関する国会調査委員会の設置を求める意向だ。

4月2日にはフィリップ首相とヴェラン保健相がテレビ会議。議員たちからのコロナウイルス対策についての質問に首相と保健相が3時間半ほどにわたって答えた。

共和国法廷に7件の訴えも

 そうした批判に加え、大臣を裁く共和国法院に4月1日までにすでに7つの告訴がなされた。マスクや手指消毒液の発注の遅れなど、コロナ感染拡大から当然予期すべき施策を怠ったとして、1500人の医師の支持を集めた3人の医師の訴えは、成立すれば傷害未遂罪に相当する。

刑務所内の感染防止措置を施さなかったとして、31人の囚人は「危険な状態にある人をほう助しなかった罪」で国を訴え、マルセイユの共和党候補は感染拡大のなか政府が3月15日の市議会選挙を実施したことを告訴(実際にこの日の選挙で感染したケースが各地で報告されている)。訴えの対象はフィリップ首相、ビュザン前保健相、ベルベ法相、カスタネ―ル内相、ヴェラン現保健相だ。マクロン大統領は、「まだ(コロナウイルスとの)戦争に勝利してもいないのに、告訴するのは責任感に欠ける」と反発した。

 そのほかにも、病院医師組合が外出規制の強化を求めて国務院に急速審理を訴え、国務院が政府に例外的外出の基準の明確化を迫った結果、やっと政府が運動のための外出基準強化と生鮮食料品市場の閉鎖を決めるなど、政府の施策が後手に回っている印象は否めない。

国会議員の質問に答えるフィリップ首相。4月2日。国営ラジオ・フランスアンフォなどのサイトでも中継された。

後手に回った政府の対応

 政府は17日の外出規制開始以前から、あいまいな政策を批判されてきた。自宅待機を奨励する一方で、15日の投票を呼びかけ、「市民の生活に必須な製品やサービス」については活動を続行すべきとした。その活動が何を指すのかをあいまいにしたまま、建設業界の職人たちが仕事を停止すると発表したら、ペニコー労働相は即座に反対。つまり、できるだけ経済活動を持続しつつコロナ拡大を防ごうという姿勢が施策の不透明さを生み出したと言える。

 4月1日、国民議会のコロナウイルスに関する情報ミッション委員会で議員の質問に対し、ヴェラン保健相は、感染拡大以来、放出したマスクは1億1千万枚、必要な数は週4千万枚、注文総数15億枚のうち今週入手したのは2800万枚と答えた。早期に大規模なテストを行って感染拡大を防止したドイツを引き合いに出したテスト実施策の質問については、フィリップ首相が「先週は1日5千件、今週以降は1日2万件にする」と答弁。マスク入手についても大規模テスト実施についても計画性に欠けていたのは明らかだ。  

 3月30日の世論調査によると、政府のコロナ対策を信頼するとした人はその1週間前と比べて10ポイント減って43%に。信頼しないと答えた55%のうち25%は「全く信頼しない」と答え、この問題に関しての政府の姿勢については63%が「透明性がない」と答えている。政府の対応に国民の不信感が高まっているようだ。(し) 


 

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