「温かみある、手の込んだ伝統料理」 の復権をめざして。

Chez Michel – Masaさん (41歳)

 Masaさんが、先代のシェフ、ティエリー・ブルトンさんから「シェ・ミシェル」の看板を継いでから1年半。この季節、ジビエを食べに来る長年の常連客を満足させ、ぎっしり書かれた黒板のメニューには、あわび、帆立などのブルターニュ産の旬の海産物を欠かさない。店の賑わいも前と変わらず、一見、シェフの交代はわからない。 

 千葉生まれ新潟育ち。東京の料理専門学校で出会った東京の家庭的な料理店「シェ・ピエール」のピエールさんに雇われる。「なつかしの味」を求める欧州の客が多い店だった。その後、日本からシェフのカンドボルドさんに手紙を出すと採用が決まり、90年代前半に渡仏。

「カンドボルドさん、ブルトンさんたちが、手の込んだ伝統料理を家庭的な雰囲気で供し、フランス料理界を盛り上げていた頃で(後にそれをメディアが「ビストロノミー」と呼ぶ)、フランスじゅうから最高の素材が届いていました」。ふたりの師に、自分の料理を方向づけられた。

渡仏して18年間。「フランス人の食習慣が変わりました。当時は昼から食前酒を飲み、ジビエをガツッと食べる人たちが今の10倍、いや100倍くらいいた」。

そんな変化を食い止めて、流行りの料理へと流れる人たちを、温かみある家庭料理へと引き戻したい。そんな姿勢に先代も惚れたのだろう、アドバイスも条件もなく、暗黙の了解のうちに看板を譲られ、名店のオーナーシェフになった。

20代からシェフや同僚に誘われ、スペインやポルトガルでも経験を積んだ。風土、人、味、料理など、すべてが自分に合った。先代シェフの地方性がブルターニュなら、「自分の料理の地方性はイベリア半島」。Masaのシェ・ミシェルの特徴は、フランスの伝統料理にイベリアの味わいがでることだという。日本にはこだわらない。国籍や出身国は、勝手にくっついてくるようなものだから。(六)

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Chez Michel

Adresse : 10 rue de Belzunce, 75010 Paris
TEL : 01.4453.0620
URL : www.restaurantchezmichel.fr/
土日休