
③クラウス・ピンターの巨大な球体は、厩舎の正面スペースにぴったりおさまっている。ⒸEric Sander
オーストリアのクラウス・ピンターは、作品を置いた環境から普段見えないものを浮かび上がらせるような大きな球体を作ってきた。ここショーモンでは、城の厩舎の正面に、金色の花形のオブジェを竹の枠に覆うように貼った作品を置いた。華やかだが中は空洞。城主のいた輝かしい時代の「夢のあと」を象徴しているかのようだ(写真③) 。
四代目田辺竹雲斎(写真④)は、細く切ったトラタケを編んで、部屋いっぱいにうねる有機的なインスタレーションを作った。終わると解体して、竹の大部分は次の作品に再利用する。エコロジーの先端を行くような作品だ。

④四代目田辺竹雲斎の作品(写真左)。⑤ブラジルの造形作家、ナタリー・ネリの作品(写真右)。
なにげなさそうに立っているが、見てびっくりするのは、ブラジルの造形作家ナタリー・ネリ(写真⑤)が落ち葉を丸めて作った装飾で覆われた木だ。心理分析家だったネリは、当たり前の風景の中で想像もつかないものを見せられたときの心のざわめきを見通しているのだろう。
自然の中のアートで知られるドイツの作家ニルス・ウドは、庭園の一角に小山を作った。小山に設置された階段を上って見下ろすと、黒い石を敷いた真中に複数の卵が見える。題名は「巣」(写真⑥) 。ウドは「火山をイメージした。周りに植えた木は卵が孵化(ふか)するのを守るため」と言う。火山の熱で孵化する卵からは何が出てくるのだろうか。

⑥ニルス・ウドの「巣」。大理石の卵を囲むように植えた木々は卵の孵化を守るため(写真左)。ⒸEric Sander
ニルス・ウド。作品「巣」の前で(写真右)。

コルネリア・コンラッズの作品は2015年に創られ、常設となっている(写真左)。〈霧の彫刻家〉中谷芙二子も今年の招待作家のひとり(写真右)。
展示会期中、城内と庭にはレストラン、ティーサロン、ビュッフェ形式のランチがとれるテラス、カフェなどもあるので、作品を発見しながら丸1日楽しめる。11月4日(日)まで。(羽)

Domaine de Chaumont-sur-Loire Centre d’Art et de Nature
Adresse : 41150 Chaumont-sur-Loire,TEL : 02.5420.9922
URL : www.domaine-chaumont.fr/fr
【行き方】パリ・オーステルリッツ駅から直行、またはオルレアン乗換えでOnzain-Chaumont-sur-Loireまで約2時間。駅から徒歩30分。駅からのバスは、4/1〜11/4までの土日祭日と7〜8月の毎日往復各2便(有料)。SNCFの切符と一緒に駅などで購入可。電車切符で入場料が割引に。
【開館時間】6/30まで:10h-20h。7-8月:9h30-20h。 9月:10h-19h30。10月27日まで:10h-19h。11月18日まで:10h-18h。
【料金】18€/12€/6-11歳6€/家族36€。
