Stile Antico “The Golden Renaissance : Josquin des Prez”
ちょうど500年前に亡くなった作曲家ジョスカンがつくった音楽は、どんなふうにぼくらに響くのか?
ルネサンス盛期を代表する作曲家ジョスカン・デ・プレはフランス北部に生まれ、教会の合唱隊のメンバーとして注目され、フランス各地、ローマ、ミラノなどを転々としながら作曲の腕を磨く。彼の240曲を超すミサ曲、モテット、世俗的シャンソンは、ときには過去の厳格なポリフォニーを引き継ぎながらも、ときには技巧を駆使した、表現豊かな声楽曲だ。
スティレ・アンティコは、英国のア・カペラの声楽アンサンブル。今年の春にリリ-スされたこのアルバムはモテット『サルヴェ・レジーナ』からはじまる。各声部2、3人の小編成ならではの一糸乱れぬ音程感覚から生まれるハーモニーの美しさ、柔らかなバスやテナーの合唱から立ち昇ってくるソプラノの清澄な響き!アルバムの核は晩年のミサ曲『パンジェ・リングア』だが、言葉やメロディーが各声部で重なり合いながら歌い継がれていくときの高揚感があり、何度聴いても飽きることがない。ルネサンス音楽ならではの平明、緻密な和声に加え、大胆なまでの不協和音にも驚かされる。(真)