塩のこと 2015-09-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 塩は、私たちにとって一番身近な食品かもしれない。料理の味をととのえるのに欠かせないのはもちろんのこと、保存食を作ったり、野菜を色鮮やかにゆでたり、その使いみちをあげていくと切りがない。前回はパンのことを書いたけれど、毎日食べるパンを作るのにも、やっぱり塩が欠かせない。 その歴史 [...]
パンのこと 2015-08-20 ノルマンディーの作家と食 他 0 フランス人にとってのパンは、日本人にとってのゴハンに似ている。いつもそこにあるもの。ないといけないもの。だから、これがなくなると困る。米一揆があったように、フランスの民衆は、パンがないからと市民革命を起こした。 パン職人は11世紀からいたというのだから、パンを買って食べるという [...]
ユゴーの食風景 -12- 2015-07-10 ノルマンディーの作家と食 他 0 誌、演劇、小説などあらゆる分野で傑作を残したユゴーは、フランスを代表する文化人。普遍的なその作品は、時代を超えて世界中の読者に愛されている。でも、ルイ・アラゴンが後年にふれているように、権威ある教授陣などからは、ユゴーのスタイルは「繊細さにかけていて、悪趣味だ」などと揶揄(やゆ [...]
ユゴーの食風景-11- 2015-06-05 ノルマンディーの作家と食 他 0 ユゴーは赤身の肉、特に羊の肉が好物だった。食事のメニューを変えることを好まず、何度でも同じものを繰り返し食べたという。 それは、ワインにしても同じこと。自作の演劇『L’intervention』(1866年)に登場するセルピヴラック男爵には「サヴォワのワインとフラン [...]
ユゴーの食風景-10- 2015-05-13 ノルマンディーの作家と食 他 0 ユゴーにはどこか贅沢や美食に対する罪の意識があったせいか、作品中で事細かに食風景が語られることは稀だ。庶民や貧民がいかに飢えているかを描くときにこそ、その筆には力がこもる。 そんな中、『レ・ミゼラブル』(1862年)に登場するボンバルダ料理店についての一節は珍しく勢いがある。シ [...]
ユゴーの食風景 -9- 2015-04-07 ノルマンディーの作家と食 他 0 『レ・ミゼラブル』(1862年)に登場するマリウス青年には、貧しさに耐えたユゴーの書生時代が投影されている。もっとも、ユゴーはそんな過去を恥じるどころか、むしろ誇りに思っていたふしがある。 1851年、49歳にしてベルギーはブリュッセルに政治亡命した際には、実はたいしてお金に困っ [...]
魚は釣ったらやっぱり料理してあげたい。 2015-03-26 ノルマンディーの作家と食 他 0 わが家では祖父が釣り好きだった。阿賀野川に出て釣りができる、三人乗りくらいの釣り船も持っていて、秋のシーズンになると、日曜には決まって、暗いうちからハゼ釣りに連れて行ってもらったものだ。祖父のみごとな櫓(ろ)さばきで釣りのポイントに着くと、阿賀野川に朝陽が映ってきれいだったこと [...]
ユゴ―の食風景 -8- 2015-03-10 ノルマンディーの作家と食 他 0 19世紀の文豪には大食漢が多かったが、ユゴーもその例にもれず。ユゴーの友人であり、作家・詩人・批評家のサント=ブーヴは「自然史には3つの偉大な胃袋が存在している。鴨、鮫、そしてヴィクトル・ユゴーのものだ」と言ったとか。「山猫の歯のように頑丈な歯、桃のたねを砕くことができた歯」を [...]
息子が指を切ってしまったが、原因は冷凍されたパン。 2015-02-26 ノルマンディーの作家と食 他 0 息子のガールフレンドから電話がかかってきた。「トマが指を深く切ってしまったので、救急病院にいるんです!」。よくよく事情を聞いてみたら、冷凍庫に入っていたパンをオーブンで温め直して食べようと出してみたら、二つのパンがしっかりくっついていて離れない。そこで、包丁で切り離そうとしたら [...]
ユゴ―の食風景 -7- 2015-02-12 ノルマンディーの作家と食 他 0 『レ・ミゼラブル』(1862年)に最も頻繁に登場する食べ物は何をおいてもパンだけれど、それにセットのように添えられているのがチーズ。刑務所を出てお腹をすかせたジャン・ヴァルジャンが宿屋で注文するのも、心無い夫婦から小間使いのように扱われるあわれな少女コゼットが垣根の [...]